ウクライナ軍は4月頃から、同国で2番目に大きい都市ハルキウ正面で、ロシア軍に対して反撃を行い、特に5月から攻勢をかけ、5月17日にはハルキウの大部分を奪還した。 この成果は、ロシア軍が特に攻勢を仕掛けるハルキウ州の都市イジュームの後方連絡線を遮断しようとする狙いで、米欧から供与された兵器を実際に運用できるようになったことにある。 ロシア軍からしてみれば、損失の多さからくる戦意の喪失などが重なった結果なのであろう。 ここには、ウクライナ軍の作戦戦術の巧妙さが見える。 その巧妙さは、現在、ウクライナ軍とロシア軍が戦っている長い正面幅の中で、ロシア軍攻撃の弱点であるハルキウに戦力を集中していることにある。 ウクライナ軍の作戦戦術の巧妙さについて、ロシア軍の地上戦全般の作戦戦術とこの弱点を突くウクライナ軍の作戦戦術について説明する。 1.作戦幅の長さから見える露軍の弱点 ロシア軍は現在、北からハル