アトピー性皮膚炎などの治療に使われる保湿用塗り薬の医療機関での処方が急増していることが、健康保険組合連合会(健保連)の調査で分かった。雑誌やインターネットで「美肌になれる」などと紹介されて広まり、公的医療保険の適用により低料金で入手できることから、化粧品代わりに求める女性が増えたことが背景とみられる。 治療以外でのこうした処方は薬剤費を押し上げ、税金や保険料で賄う医療財政を圧迫。年間約九十三億円が無駄に支出されている可能性があり、厚生労働省は来年四月の診療報酬改定で処方量の制限など対策を講じる方針を固めた。近く、中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)で議論を求める。 医師から処方される保湿薬の中で特に女性に人気なのが「ヒルドイド」。軟こうやクリーム、ローションタイプがあり、五十グラム千百八十五円だが、保険適用の場合、自己負担は最大でも三割の約三百六十円で済む。