今回は本辞典の記述のなかから発話行為にかかわる情報について、今までと同じく、G(2007年第4版)、W(2007年第2版)、O(2008年発行)の3つの辞書の記述と比較しながら解説したいと思います。 発話行為(speech acts)は哲学起源の比較的新しい概念で、これを使うと従来の文法範疇をいわば横断的にカバーすることができます。たとえば、「窓をあけてください」という文は、“Open the window.” “Will you open the window?” “I’d like you to open the window.”などと表現することができますが、これらはそれぞれ、命令文、疑問文、平叙文、と文の形式が異なり、説明するにはその形式からはじめる必要があります。発話行為の観点からみると、これらを一括して「要請(request)」を表す表現とまとめることができます。また、文法の上