ミュールとかパンプスという単語を知ったのは、大学1年生のとき。それまでスニーカーを履いていた女の子がある日突然、スカートとヒールのある靴で目の前にいた。自分と並列だった人が、急に手の届かない存在になってしまって、それがしっかりと認識できて生まれる対象のない嫉妬。 もう少し具体的に言えば、これまで「adidasのスニーカー出たけど、買う?」なんて話していた子が、「ダイアナなり卑弥呼なりの靴履いとるやん」ってことで、急に女になっとる。でも、僕は変わらず新作スニーカーを追うことしか考えていないし、でも、それだとその子に不釣り合いだなと勝手に一歩引いてしまう。性差に対する嫉妬、とでも言えば伝わるだろうか。人それぞれ性差を感じるタイミングや象徴的なアイコンは様々だろうけれど、僕の場合は男子校を出てすぐのヒールのある靴だったということ。 久々にスーツをオーダーして、手元に届いた。1日着てみての感想を。