1 アニサキスとは アニサキスは寄生虫の仲間で、クジラに代表される海洋ほ乳類のお腹の中で成虫になり産卵します。クジラのフンと共に海水中に排出されたアニサキスの卵は、やがてオキアミと呼ばれるプランクトンに食べられます。そして、アニサキスは幼虫(第3期)に成長します(図1)。アニサキスの幼虫が寄生したオキアミを補食した魚では、アニサキスは成虫になれず、おもに内臓部分にとどまり、終宿主(成虫になれる宿主)であるクジラやイルカなどに捕食されるのを待っています(図2)。 アニサキスの多くは魚介類の内臓部分に寄生していますが、一部のアニサキスは魚介類の筋肉部(刺身の部分)へも移行します。このアニサキスの幼虫が寄生した魚介類を、生または生に近い状態でヒトが食べると、アニサキスが主にお腹の中で胃や腸に突き刺さることがあり、アニサキス症と呼ばれる激しい腹痛(食中毒症状)を起こします。 2 アニサキス症につい