「会社は株主のもの」という考え方に、真っ向から反対する人がいる。コーポレート・ガバナンス(企業統治)を研究する財団を運営する原丈人氏だ。米国を拠点に活動する実業家で、過去に内閣府の参与も務め、岸田文雄首相にも近いとされる。企業統治のあり方や、岸田政権の「新しい資本主義」について聞いた。 ――「会社は株主のもの」という意見は根強いものがあります。 「それは米国の考えです。株価対策として人を減らしたり、配当や自社株買いなど利益を超える株主還元策をとったりします。異常な状態だと思います。会社は公器であって、『株主のもの』という考えと決別すべきだと考えます」 四半期決算の義務づけ廃し、新たな指標を ――会社は何のためにあるのでしょうか。 「事業を通じて社会を良くするために会社は存在し、健康で豊かな中間層を増やすことが目的です。考えてください。会社は社員、顧客、長期に株を持つ人、地域社会などのおかげ