特許切れまでに最大の利益を 日本でもアメリカでも、新薬の特許期間は出願から原則20年。実際の販売期間はもっと短い。特許が切れれば同一成分でより安価な後発薬が登場し、売り上げは激減してしまう。限られた期間で最大限の利益を得るため、製薬会社の「新薬キャンペーン」は、世界中で日常的に行われている。 よく知られたケースが、抗うつ薬の一種である「選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)」に関するキャンペーンと、それがもたらした影響だ。 SSRIは単一の薬ではなく、同様の効果を持つ複数の抗うつ薬の総称。1980年代末、「従来の抗うつ薬よりも副作用が少なく、軽症の人にも投与できる新薬」として登場し、欧米で急速に普及した。服用すると楽天的な気分になることから、健康な人が飲むことも流行した。 日本では99年に最初のSSRIが販売された。SSRIを製造販売する製薬会社は「うつの症状が出たら迷わずお医者さん