本屋大賞第一位に輝いた時代小説『天地明察』や日本SF大賞受賞の「マルドゥック」シリーズで知られる冲方丁が、現代日本を舞台にした国際諜報アクション小説『アクティベイター』を発表した。 全五二〇ページに及ぶ物語のすみずみに、今年でデビュー二五周年となる小説家が培ってきた、エンターテイナーとしての矜持が刻まれている。 「この亡命作戦は可能だ」自衛隊員からのお墨付き 日本上空に突如、中国の最新鋭ステルス爆撃機が飛来した。女性パイロットは無線で「われ亡命を希望す」と表明し、自衛隊機の護衛のもと羽田空港に着陸する。事情聴取にやってきた警察庁の鶴来は、ヤンと名乗るパイロットから、自身は中国の空軍に所属する軍人であり、ステルス機には核爆弾が搭載されていると衝撃の事実を告げられる──。誰もが物語世界にグッと身を乗り出さざるを得なくなる、抜群のツカミで『アクティベイター』は幕を開ける。 「手塚治虫の『ブラック