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男性・女性の違いを説明する際に「男性脳・女性脳」という表現が使われることがあります。「男性脳・女性脳」は科学的な根拠に基づく概念なのか、単純化された言説はなぜ問題なのか、認知神経科学者の四本裕子教授(総合文化研究科)に聞きました。 多次元的なヒトの脳 ── 「男性脳・女性脳」という概念に科学的根拠はあるのでしょうか? 「男性脳・女性脳」の概念は、性別による脳の違いについて言及したものですが、そもそも「性」とは非常に多元的な概念です。社会的・文化的に定義される「性」(ジェンダー)が多様であるように、生物学的に定義される「性」(セックス)も複雑です。生物学的に定義される「性」には、遺伝的な染色体で決まる「性」、精巣や卵巣で決まるホルモンの分泌と関係する「性」、セクシュアル・フェノタイプと呼ばれる表現型の「性」などがあり、人によってはそれらが必ずしも全て一致するとは限りません。一方で、男性・女性
人はミスをする。これは当たり前のことだ。 だからミスしないように準備をするし、仮にミスしたとしても、トラブルにならないように防護策を立てておく。人命に関わるような重大なトラブルになるのであれば、対策は何重にもなるだろう。 個人的なミスが、ただ一つの「原因→結果」として重大な事故に直結したなら分かりやすいが、現実としてありえない。ミスを事故に至らしめた連鎖や、それを生み出した背景を無視して、「個人」を糾弾することは公正なのか? 例えば、米国における医療ミスによる死亡者数は、年間40万人以上と推計されている(※1)。イギリスでは年間3万4千人もの患者がヒューマンエラーによって死亡している(※2)。 回避できたにもかかわらず死亡させた原因として、誤診や投薬ミス、手術中の外傷、手術部位の取り違え、輸血ミス、術後合併症など多岐にわたる。数字だけで見るならば、米国の三大死因は、「心疾患」「がん」そして
なめらかな世界と、その敵 作者: 伴名練,赤坂アカ出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/08/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの『なめらかな世界と、その敵』を端的に紹介すれば、SFマニアからビギナーまであらゆる層を満足させる、オールタイム・ベスト級の傑作SF短篇集である。とはいえ著者伴名練の名は、SFファン以外は聞いたことはないだろう。既刊行作は『少女禁区』という約10年前に刊行された中短篇集一冊のみで、その後も企画物のアンソロジーに散発的に短篇を発表しるのみだったから、普通は知る機会は多くはない。 だが、SFファンの間では、本書の刊行前から伴名練の名は異常なほどの熱気でもって知られていた。というのも、商業発表作こそ少ないものの、同人誌に毎年のように新作短篇を発表しており、その作品の出来がまた凄まじかったからだ。それまでのSFの先行作を緻密かつ複雑に折り込み、舞
こんにちは、Wantedlyでデータサイエンティストをしているひぐ(@zerebom_3)と申します。 1年ほど前に、社内の先輩(@potsbo)との1on1で、"仕事ができるようになりたくて高い目標(ex. 業務外で毎週X時間勉強する)を建てるが、結局続かず、能力も伸びない。自己肯定感も下がってしまう。どうしたら良いか。😭"と相談しました。 そのとき、”意志力に頼らず、仕組みを使って習慣をコントロールできると成果を上げられるようになるよ"とアドバイスをいただき、隔週で自分の習慣の作り方についてレクチャーしてもらいました。 その結果、仕事・業務外でもアウトプットの量を増やし、能力を身につけられたと感じています。例えば、業務外においては、2023/01 ~ 07の7ヶ月で下記のようなインプット・アウトプットができました。 - Zennへの記事執筆7本 - 外部登壇2本 - Kaggle 銀
日本は「課題先進国」と言われるが、この言葉はいささか焦点がぼやけている。なぜなら、国の課題や社会のひずみは、まず地方にこそ現れるからだ。課題を先取りしているのは国よりもむしろ地方である。 地方はまたジャーナリズムの先進地域でもある。中央のマスコミがくだらないプライドの上にあぐらをかいている間に、彼らは最先端の課題と格闘してきた。だから骨太の報道は、しばしば地方から現れる。 本書は、地方議会で成立したひとつの条例を地元放送局の記者が約3年にわたり追いかけた記録である。地方に現れたおかしな兆候にいち早く気づき、仔細に検証することで、社会全体に共通する問題点を浮き彫りにすることは、地域に根ざした記者にしかできない。社会の深刻な課題と地方メディアの矜持。その両方を知ることができる好著だ。 2020年3月18日、香川県議会で全国初の条例が可決、成立した。 その名は「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例
新型コロナウイルスの感染拡大の中で、まさに本書のタイトルとなっている「公衆衛生の倫理学」が問われました。外出禁止やマスクの着用強制は正当化できるのか? 感染対策のためにどこまでプライバシーを把握・公開していいのか? など、さまざまな問題が浮上しました。 そういった意味で本書はまさにホットなトピックを扱っているわけですが、本書の特徴は、この問題に対して、思想系の本だと必ずとり上げるであろうフーコーの「生権力」の概念を使わずに(最後に使わなかった理由も書いてある)、経済学、政治哲学よりの立場からアプローチしている点です。 そのため、何か大きなキーワードを持ち出すのではなく、個別の問題について具体的に検討しながらそこに潜む倫理的な問題を取り出すという形で議論が展開しています。 そして、その議論の過程が明解でわかりやすいのが本書の良い点になります。 「これが答えだ!」的な話はありませんが、問題点が
小説を書く者の一人として、神話についてはもう少しちゃんと勉強しておきたいなと以前から考えていたんですよ。 ほら、なんていうんですかね、神話ってなんか重要そうな感じがするじゃないですか。目に見えないところでものすごい影響力を持っていそうな雰囲気というか……なんかフォースの力みたいなアレを感じるじゃないですか。語感からして、なんかすごそうな響きでしょ「神話」って(私だけか?)。 それに現代において神話の効力は失われて久しいとどこかで聞いた気もしますし、それは実感としてもそんな気がします。が、それと同時に、まだまだ神話の持つエネルギーは自分たちに影響力を残しているんじゃないかという気もする。妙にそんな実感がある。けど……まあ要するに、ぶっちゃけよくわからん。だからこそ、気になっていたわけですわ。 そんなわけで、仕事を辞めて時間もできたので、神話関連の名著として名高いジョージ・キャンベルの『千の顔
『神話の力』というタイトルの本書は、神話、物語の力についてジョーゼフ・キャンベル氏とビル・モイヤーズ氏が対談する内容なのですが、これがもう、ビル・モイヤーズが、キャンベルがいかに凄い人間なのか、ということを説明するだけのまえがきからべらぼうに面白くてやばいのです。1992年が初版なので大分古いのですが、もうすぐ文庫化するということで早川書房の元SFマガジン編集長、塩澤快浩氏のこんな発言があったので読んでみたのです。 来月、ノンフィクション文庫より文庫化されるキャンベル&モイヤーズの対談集『神話の力』を読んでいる。これはすごい本。いや本当に、作家や編集者にとっての“聖書”というべきか。“物語”を生業にすることの意味が書かれている(まだ途中だけど)。というわけで、解説は冲方丁氏。──Twitter / 塩澤快浩: 来月、ノンフィクション文庫より文庫化されるキャンベル ... いやはや、ここまで
たまに「電子書籍って作家にお金が入らないんでしょ?」って言われる。 よく「電子と紙の本どっちが利益になる?」と聞かれる。 そんなアレで思う事を書いてみます。 【前提】 ※暇な人向け ※これはあくまで「出版社を通したマンガ(商業の単行本)」の話です。 同人の電子書籍(ダウンロード販売)やAmazonのインディーズは違います。 ※全部の会社が『必ず』そうって話じゃないです。違う会社もあります。一例です。 ※出てくる数字もあくまで「解りやすい例」です。実際はもっとゴチャゴチャしてると思う。 【作家の収益になって、買い手にも優しいもの】 ・楽天koboの●円以上■%オフとかの「全書籍対象」のクーポン (~~出版社限定!とかの対象に縛りがあるモノは×) ・全書籍対象のポイントバック企画 全書籍対象クーポンの値引きやポイントバック類は電子書店の負担になるので作家(と出版社)に入るお金は変わりません。
悪意の科学: 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか? 作者:サイモン・マッカーシー=ジョーンズインターシフトAmazon最近、仕事中のほとんどの時間は何らかのゲーム配信(最近はLeague of Legends)を垂れ流していることが多い。人気のストリーマーは数千、数万といった視聴者を集める。そうすると、一人用ゲームではない対戦系ゲームを配信で行っている配信者は、少なからぬ「嫌がらせ」行為に遭遇するものだ。 たとえば、配信者がゲームのマッチングを開始したのにタイミングを合わせてマッチング開始し、配信者とマッチングしたらその試合で通常ありえないえないゲームプレイをして負けに導いたり、挑発行為を繰り返したり、Apexのようなバトロワなら配信を見て位置を把握し集中攻撃をかけたりが行われるのである。 そうした悪意あるプレイヤーが、なぜ、自分にとってたいして利益があるようにも思えない悪意あ
新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の脅威によって、世界は変わった。 誰もがマスクを着用し、人と人が距離を保ちながら過ごすことが日常となり、2022年のいまでは、リモートワークで仕事をすることが当たり前の世の中となった。コロナ禍で人と人の物理的な繋がりが希薄化してから、もうすぐ3年もの歳月が経とうとしている。 奇しくも、パンデミック直前の2019年11月に、そんな現状をまるで予見したかのような物語を描いた作品が発売された。 そう、『DEATH STRANDING』(以下、デススト)である。 とはいえ、発売当初は正直、そこまで本作の内容にのめり込めず、プレイも途中で止めてしまっていた。ひたすらネガティブな振る舞いをする主人公(物語の序盤では、だが)に共感できなかったからだ。 しかし、あるとき、予感ともお告げとも言える何かが、「本作をプレイをしろ!」と強く訴えかけてきた。 コロナ禍での
本をよく積みます。よく読むではなく、ともかく積んでいます。 俺たちの本積むスピードには誰も追いつけない(読んでない本、まだまだあるのにまた本を買ってしまう) pic.twitter.com/RxrHrRl8KX — フジイユウジ (@fujii_yuji) 2021年12月17日 毎週土曜の朝から積読を強制的に消化する会というのをオンラインでやってまして、「誰か来るだろうから起きて読まなくては……」と強制力が働くことで本を少しずつ読むことができています。参加者のみなさん本当にありがとう。 時期によって人が増えたり減ったりして、ここ最近は数人しかいない状態なので新規参加者を募集しております。誰でも参加できるので参加してみたい方は連絡くださいな。 というわけで、今日は読んでよかった本をまとめて紹介していきたいと思います(今年じゃないのもちょっとあり)。 まとめてみたらニンゲン的な原理や不合理と
by origami_madness 幾何学的なパターンの折り紙を数多く発明し、折り紙愛好家の中では世界的知名度を誇る藤本修三氏が自費出版した5冊の折り紙教本が、藤本氏の子どもの同意を得てパブリックドメインで公開されました。 Fujimoto’s Five Books are now Public Domain - Origami by Michał Kosmulski https://origami.kosmulski.org/blog/2022-10-23-fujimoto-books-public-domain 藤本氏は1922年に大阪で生まれ、化学・製薬会社勤務を経て兵庫県の高校で化学教師となった人物です。最初は「1枚の紙で正三角形を作るにはどうすればよいか」という問題から出発し、折り紙への関心が増すにつれて正五角形、正四面体、正二十面体と次々に複雑な立体を作るようになり、やがて化
読んでよかった本ランキング、上半期編は毎年7月に行っていたんですが、今回は遅くなってしまいました。楽しみにしていた皆さん、お待たせしました。 今回は、学術書やエッセイなど広義の「ノンフィクション」編です。 今期は、ボリュームある学術系の本を何冊か読んだこともあり、冊数はさほど多くありません。ですがその分、良い本を厳選して読めたような気がします。 では、前置きはこのくらいにして、ランキングいってみましょう。 「2022年上半期(1〜6月)に読んで良かった本」であり「その時期に発売された本」ではないです〜。 11位 コラージュ入門 コラージュ入門 作者:藤掛 明 一麦出版社 Amazon 去年通った職業訓練校の「キャリア相談員養成講座」にて、コラージュをやって面白かったので、そのワークの持つ意味をきちんと知ってみたくなり、参考になりそうな本を買ってみました。 著者のエッセイのような描写も多く、
『置かれた場所で咲きなさい』という、累計200万部の国民的ベストセラーになった1冊の本がある。 修道女でもある故・渡辺和子さんが2012年に著した作品で、宣教師から渡された 「Bloom where God has planted you(神が植えたところで咲きなさい)」 というメモに救われた体験を元にした、自叙伝的なエッセイである。 ” 置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです” という印象的な言葉とともに紡がれる文章は美しく、多くの悩める人を勇気づけたのだろう。 ネット上での書籍レビューは概ね高評価で、多くの人に愛される理由の一端を垣間見ることができる。 渡辺和子さんのベストセラー本『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎) しかし私は、誰かをエンカレッジする時に正直、この言葉をとても使う気にはなれない。 さらにいえば、この言葉は無責任であり卑怯であるとすら思っている。 国民的な大
リーマンショックからソニー等の企業経営まで、現代の組織で起こる様々な問題は、組織が専門家集団に細分化され、組織内の小さな集団が「サイロ」を形成していることに起因する。著者は文化人類学者出身でフィナンシャルタイムズの金融記者を経て企業の組織論に携わる異色の経歴で、金融システムから企業経営まで文化人類学という新しい見地から問題を分析する。文化人類学者らしく具体的な人をベースとしたストーリーを前提に議論を展開するが、ストーリー部分が迫真性に富み単純な読み物としても面白い。 なお、同著者の下記もお勧め(下記は今回のセール対象外)。文化人類学のレンズを通して企業経営から行政運営まで多種多様な問題を分析していく様が新しい。
「その悩み、○○学ではすでに解決しています」みたいなタイトルの本を見かけることがある。あなたが日々の仕事で直面する悩みや課題は、すでに最新の学説や理論で解決済みですよ、というわけだ。 だが本当にそうだろうか。最新の学説や理論を応用すれば、世の中の問題はたちどころに解決するものだろうか。 著者は政治学を専門とする大学教授である。「話すも涙、聞くも大笑いの人生の諸々の事情」があって、47歳にして人の親となった。小学校のママ友やパパ友のほとんどは干支一回り以上年下だ。そんなママ友からある日「相談があります」と呼び出され、いきなりこんなお願いをされた。 「来年、PTA会長になってくれませんか?」 まさに青天の霹靂だ。驚いた著者は必死に出来ない理由を並べ立てる。「フルタイム・ワーカー」だから無理!「理屈っぽくて、短気で、いたずらにデカいジジイ」だから無理!ところがママ友は決してあきらめず、最後は情に
ビジネス書100冊の教えをまとめた本がある。 自己啓発書100冊の教えをまとめた本がある。 そして "答え" がここにある。 100冊読んで分かったこと 2022年4月、日本のビジネス書を語るなら絶対に外せない本が登場した。『ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律』である。 ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律 作者:堀元見徳間書店Amazon その名の通り、日本で売れているビジネス書を100冊選び、それらを厳選した27の教えにまとめた本だ。この1冊があれば他にはいらない。 本書の組入書籍として採用されたのは刊行が2016年以降*1、推定発行10万部以上*2など、複数の条件*3を満たした本であり、その内訳は国内82%、外国18%となっている。 これだけ多くの厳選された書籍を使っているだけあって、教えの内容は多岐にわたる。コミュニケーションや情報処理
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