読者諸氏の中には、昔楽しんだアニメ作品がブルーレイディスクでパッケージソフト化されるのを楽しみにしている方も多いだろう。しかし、ソフトが作られるまでに待ち受ける困難については、意外に知られていないのではないだろうか。そこで今回は、アニメの中でも特に「音」にスポットライトを当て、過去の作品をファンに届けるために奮闘する制作現場をリポートする。ナビゲーターはアニメの音響監督としても活躍した経験を持つ潮晴男さんだ。(編集部) 潮 今日は株式会社タバックの代表取締役社長、市川修さんにアニメーションの音についてお話をうかがいます。まず、タバックさんはどんなお仕事をされている会社なのでしょうか? 市川 かつて東映アニメーション、--当時は東映動画という名称でしたが--その中に技術課という部署があり、そこに録音と編集、撮影部門が属していました。ある時、録音と編集だけを分離させようという話になり、1973
若者の青春を表す言葉として記号化されるまでに至った「フェス」 今年も日本最大級のロックフェス『FUJI ROCK FESTIVAL』が無事終了。発表によれば、前夜祭を含めて延べ10万人の動員を記録したそうで、早くも来年の開催日程も発表されています。僕は今年は土曜日のみ参加したのですが、変わりやすい山の天気にしては珍しく、一滴も雨が降らない好天に恵まれ、今年の目玉アクトのARCADE FIREはもちろん、個人的にはソロで登場したデーモン・アルバーンのステージに感動し、日焼けと共に帰ってまいりました。また、今年で15周年を迎える邦楽ロックフェスの先駆け『ROCK IN JAPAN』は、2週にわたって初めて4日間開催され、矢沢永吉や新体制チャットモンチーの出演が話題に。中国四国地方最大のロックフェスである香川の『MONSTER baSH』も同じく今年が15周年と、日本のフェスが歴史を積み重ねてき
安倍首相はストーンズ公演を「Satisfaction」した 安倍首相はこの3月に来日したThe Rolling Stones公演へ出向き、「ヒット曲の題名になぞらえ『サティスファクション(満足)だった』と笑顔で語り、堪能したようすだった」(2014年3月6日 産経ニュース『ストーンズ鑑賞の首相「サティスファクション!」』より)という。ストーンズが観客に投げかけたのは「Satisfaction」ではなくて、歌詞の通り「I Can't Get No Satisfaction」のはず。彼らが歩みを止めないのは、いつまでも「満足出来ない」からなのだが、宰相はその辺りの大切な文脈に考えを及ばせずに素直に「満足」してしまうからこそ宰相なのだし、そこにずっと抗い続けていくからロックはロックなのだ。言わば、政治とロックの役回りを再度提示してくれた発言、と皮肉ることもできる。 音楽業界必読。現政府の「音楽産
JASRACは殺されるべき「悪」なのか photo credit: Great Beyond via photopin cc ミュージシャン、特にFrekulに登録しているなど、現在のミュージックシーンや音楽ビジネスのあり方などに問題意識を持つミュージシャンの中には、「JASRAC」というシステムに違和感を感じている人が少なくないはずだ。最近は、活動休止中な爆風スランプのドラマーであるファンキー末吉氏とJASRACの紛争(詳細は「JASRACとの戦い ファンキー末吉BLOG ~ファンキー末吉とその仲間たちのひとりごと~」を参照して頂きたいが、本記事を読むためには必ずしも詳細を知っている必要はない)も、ミュージシャンの間で注目されている。 ただ、JASRACについてどう考え、何を望むべきなのか…というのは、なかなか難しいテーマだ。これらの前提として、そもそもJASRACとは何なのか、そして
日本にフェス文化が定着し、年中どこかで何かしらのフェスが行われるようになった今も、「夏フェス」という響きが特別であることには変わりがない。特に洋楽ファンにとっては、『フジロック』と『サマーソニック』が行われる7月と8月こそが「フェスシーズン」であるという認識は根強いだろう。一方、フェス以外で近年洋楽ファンにとってお馴染みとなったイベントといえば、『Hostess Club Weekender』が挙げられる。2012年にスタートし、2月・6月・11月に定期開催され、ビッグネームと初来日の若手が共存する、ツボを抑えたアーティストセレクトによって、常に素晴らしい空間を作り上げている。今年もCAT POWERとBLONDE REDHEADをヘッドライナーに6月21日と22日に新木場STUDIO COASTで開催。一足早い夏フェス気分を味わう意味でも、この日を楽しみにしている洋楽ファンは多いに違いな
iTunes - Apple(日本) この国で始まる日が来るとは思わなかった。早速加入してみたのでさらっとまとめる。 iTunes Matchとは音楽ファイルをサーバにアップロードして、さまざまなデバイスからアクセスできるといったまるで夢のサービスなのだがこれだけではない。アップロードした際に内容がiTunesStoreで販売されている楽曲と一致した場合、ストアのファイルをダウンロードする権利がアカウントに付与される。所持しているCDはもちろん、知人に借りたCDも、不正に入手したファイルまでもが対象といったまるで悪夢のようなサービスであったりもする。 権利を持っている楽曲を実際にダウンロードして試した というわけでロンダリングできるかどうかを自分の作品で試してみた。なぜだかはわからないけれどiTS版のアートワークはやけに汚い。掲載当初に見た際は思わず悶絶してしまったのだが今回の試みには丁度
今年3月に発売されたやけのはらによる初のリミックス・アルバム『SELF-PORTRAIT』。全15曲、中村一義やメレンゲ、奇妙礼太郎からランタン・パレードなど、さまざまなアーティストに提供したリミックス楽曲をひとまとめにした本作は、彼なりのリミックス=編集という観点を捉えるにはうってつけの1枚でしょう。本作のリリースを記念して、このアルバムの大きなテーマでもある“編集と再構成”をテーマにしたトーク・ショーを、タワー・レコード渋谷店で開催しました。その模様をテキストで再録してお送りします。やけのはらが考える“編集と再構成”とは? 我々が目下突き詰めなければならない“編集道”とは? そして、もちろん本稿も“編集と再構成”そのものなのであります。 編集・構成/高橋圭太 a.k.a. shakke やけのはら 「はい、こんばんわ。やけのはらと申します。お集りいただきありがとうございます。本日は
何気ない日常を趣深い物語に変える言語感覚も、曲に合わせた柔軟な楽器使いも、普通のバンドマンとは異なる活動を続ける彼だからこそ生み出せるものなのだろう。アイリッシュやカントリーなどを取り入れたアコースティックバンド「コケストラ」に始まり、子どもたちに大人の本気を見せつけることをめざした「歌のおじちゃん」4人組バンド「COINN」、ショピンの野々歩との親子で楽しめる童謡や遊び歌のユニット「ノノホとコーセイ」など数々の遍歴を持ち、さらにはひっそりと小学生向け音楽教室のギター講師も行っている小田晃生が、シンガーソングライターとしては実に5年ぶりとなるアルバムをリリースした。そのタイトルどおり、バラバラなアプローチで挑んだ10曲を収録した『チグハグソングス』は、どこかほのぼのとした彼の人間性が一貫して伝わってくる魅力的な作品だ。これまでの歩みとソロ活動の位置づけ、そしてハッと驚くMVについてを含む今
先天的に耳の聞こえないサウンド・アーティストChristine Sun Kim(クリスティン・スン・キム)がSound Live Tokyo 2013に参加するため初来日をはたし、2013年10月5日、上野恩賜公園野外ステージで体験型サウンド・パフォーマンスを披露した。今回、ドリフターズ・マガジンはChristineにメールインタビューを行った。 クリスティン・スン・キムは、NY在住の新進気鋭のサウンド・アーティスト。 Sound Live Tokyo 2013の参加アーティストの1人として初めて来日し、パフォーマンスを行った。 先天的に耳の聞こえない彼女は、独自な方法で音へのアプローチを繰り返す。そのアプローチを通し聞き方を学び、自らの「声」を獲得してきた。 過去の作品では、聴覚から視覚への翻訳を中心にサウンド・アートを展開し、日常から周囲の人々の反応をマネすることにより、音がもつ社会性
きっと賛否両論だし、叩かれるの覚悟で書くんだけれども、最近『ボランティア演奏』ということについて考えさせられることが多くなった。 去年、こんなに世間が賑わっているシーズンにも、病院に入っていて遊びにも行けない方というのはたくさんいらっしゃるんだよなと思って、どこかの病院にボランティア演奏に行こうと思ったんです。 で、どこか演奏できそうな病院はあるかな?と思って調べてみたら、 『無料で演奏してくださる方を募集しています。プロに限ります。』 と書いてあるところがあって、一瞬で萎えた。 例えば、音大生とか、アマチュアの方でも、演奏の場が欲しいのに、演奏出来る場所がない、という方ってたくさんいるんです。 音楽に真摯に取り組んでいて、練習もたくさんしているのに発表の場がない。 そういう方の中に、お金がでなくても演奏したいです、という方ってたくさんいると思います。 私もそうでした。 なのに、「タダでも
さやわか×宇野維正×柴 那典が2013年の音楽シーンを切る!(後編) 2014.01.03 10:30 リアルサウンドでもおなじみのライター・物語評論家のさやわか氏が、音楽ジャーナリストの宇野維正氏、柴 那典氏を招いて、2013年の音楽ジャンルを再総括するトークイベント『さやわか式☆現代文化論 第2回』のレポート後編。前編「今、ボカロやアイドルをどう語るべきか 音楽ジャーナリスト3人が2013年のシーンを振り返る」では、芸能と音楽の関係性についての考察から、ボカロシーンの是非、さらにはJPOPシーン全体の傾向の変化についてまで話が及んだ。後編では、最近の楽曲の傾向から、ボカロシーンの可能性についてまで、ざっくばらんに語った。 さやわか:前半ではシーン全体についての話が多かったんですが、今の音楽批評の問題として楽曲じたいに対する議論がなかなかうまく広がらない気がしています。そこで今日は音につ
AKB48『鈴懸(すずかけ)の木の道で「君の微笑みを夢に見る」と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの (Type A)(多売特典付き)』(キングレコード) リアルサウンドでもおなじみのライター・物語評論家のさやわか氏が12月6日、五反田の「ゲンロンカフェ」にてトークイベント『さやわか式☆現代文化論 第2回』を開催した。音楽ジャーナリストの宇野維正氏、柴 那典氏を招いて行われたこのイベントでは、「音楽ジャンル再総括!―2013年末から振り返る、90年代 J-POPからきゃりーぱみゅぱみゅ、初音ミクまで」をテーマに、音楽ジャーナリズムの一線で活躍する彼らが、2013年の音楽シーンについて濃密な意見を交わした。前編では、芸能と音楽の関係性についての考察から、ボカロシーンの是非、さらにはJPOPシーン全体の傾向の変化につい
皆さんは「音響監督」という職種があるのはご存じでしょうか? 私の場合、映画やテレビ番組のスタッフロールを見てると必ず出てくるので存在自体は知ってたんですが、実際にそれがどういうお仕事なのかは5~6年前までほとんど知りませんでした。その後、おっちゃんことフルーティストの旭 孝さんと一緒にやってる録音レポの関係で「作曲家さんにどんな音楽を書いてほしいって要望を出す人」「どのシーンにどんな音楽をつけるのかを決める人」「声優さんを選ぶ人」くらいの認識はできてきたんですが、それでも特に気には留めてなかったんです。 ところが2年ほど前でしょうか…多分キッカケは作曲の岩崎 琢さんのお仕事レポのどれかだと思うんですが(時期的に‘C’かな?)、音響監督の長崎行男さんが私のツイッターをフォローしてくださった上に「自分が手がけた作品のレポが他にもあって色々と読ませてもらった」なんて嬉しいメッセージまでくださった
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