いつそれが「わたしの問題」になってくるのか、ひとまずクラブなどの与える恩恵に浴してこなかった筆者にはそこが問題である。同じような距離感でこの一連の騒動を眺めているかたには、この本は手頃なガイドになるだろう。たとえばこのことが「クラブが警察によって取り締まりを受けている」という事実描写にとどまるかぎり、筆者にとっては対岸の火事である。しかし「踊ると取り締まりの対象になるらしいよ?」という言い方になれば話は別だ。それはクラブに通う通わないを問わず、踊る踊らないということすらこえかねない種類の問題へと拡大される。またここに「何のために取り締まるのか」「そもそもそれで誰が得を?」というような視点が加われば、思いがけない角度から危惧を感じることにもなるだろう。この本はそのようにさまざまな視点と経路をとりながら、ダンス規制法としての風営法やクラブ閉鎖問題が「いつわたしの問題になるのか」を考える手がかり