1日付で、国立民族学博物館(大阪府吹田市)の特別客員教員に就任した。大学を中退してラッパーになった身に教員の肩書がつくのも面白いと思うが、実はラッパーになったからこその展開である。 教員として参加するのは、辺境ヒップホップ研究会。主に非英語圏の国や地域において、米国発の黒人中心の文化であるヒップホップがどう普及し、展開していったかを調査し、発表する。研究者たちはこれまでにモンゴルやパレスチナ、ウクライナ、インド、中国、ポーランドなどのヒップホップをテーマに、特にラップ表現を中心に発表していて、とても興味深い。僕は、ラッパーとしての経験に基づいて議論に参加している。 あらゆる地域のヒップホップを見ていく中で浮かび上がってくるのは、「抵抗の文化」としての側面だ。政治権力や宗教権力、社会的慣習などによる抑圧に、言葉で、そして態度で抵抗していく。直接的な物言いから隠喩まで、方法は地域の状況によって