これまで自分は、差別や偏見に対してNOという意識を持って生きてきたつもりだった。 しかし、今回の取材を通じて、その自信が大きく揺らいでしまった。差別や偏見は、国籍・性別などのわかりやすい違いだけではなく、何気ない認識や無意識の言葉選びにも潜んでいることに気づかされたからだ。 今回取材をさせていただいた谷ぐち順さんは、来年で30周年を迎える音楽レーベル『LessThanTV』の代表を務めながら、障害がある方の生活をサポートする介助者としても働かれている。2022年5月には自立生活支援を目的とした事業所「谷ぐち介助クラブ」を創立。世田谷を中心に活動の輪を広げている。 取材先に到着すると、谷ぐちさんはとある男性を紹介してくれた。周りから「フミ」というあだなで呼ばれているその方は、脳性麻痺の当事者で、ほとんどの時間を車椅子で過ごしているという。僕らが部屋にお邪魔したときも車椅子にかけていたのだが、