トラルファマドール人が見た日本 - bluelines

大学で言語学を教えています。入門の授業で、「ことばとこころを巡るヨタ話の一類型」として、次の文章を配っています。 題は「トラルファマドール人が見た日本」。僕が適当にでっち上げた文章です。 わたしはこの度、極東の島々に住む『ニポンジン』という風変わりな民族の調査を行った。この調査を通じて明らかになったのは、我々が当然のように共有している基本的な知覚すら与えられていない人々が居るということである。ニポンジンの話すニポンゴは、知覚を表現する語彙が驚くほど貧弱である。これはとりもなおさず、我々にとっては当然の知覚的区分が、彼らには同一の体験として受容されていることを示す。 例えばニポンジンは、『味』を極端に大雑把にしか分類しない。彼らの味覚に関する語彙は、『アマイ』『カライ』『ショッパイ』『ニガイ』の四種類しかない。信じられるだろうか？彼らはチョコレートを食べても、真っ赤に熟したイチゴを食べても、

[funaki_naoto]

そういうものだ。

[circled]

一方New Scientistでは2012年に「改めて調べたが、イヌイットやユピク族の雪に関する表現は、やはり英語より多いぞ」という記事(有料)が出ていて困る。 https://www.newscientist.com/article/mg21628962-800-are-there-really-50-eskimo-words-for-snow/

[theta]

日本の言語には「兄」を表す単語が多数存在する

[goldhead]

はてなーは政治を「ウヨ」「サヨ」と二つだけの表現で区別する。それでは政治など語れないではないかと思うが、彼らのシンプルな政治観こそ、われわれが忘れてしまった原初のムラ社会の在り方ではなかろうか。

[AKIMOTO]

原文読んでないけどエスキモーの雪の件 http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2010-04-26-1.html

[akdamar]

「トラルファマドール人」（正確には「トラルファマドール星人」）の説明がないが、SFファンはご存知のとおり、ヴォネガットの『タイタンの妖女』に登場するやつです。

[tskk]

“この問題について重要なのは、「人はこの手のヨタ話が大好き」ということだと思います“

[Akimbo]

トラルファマドール星人はそんなこと言わない。彼らは時間を見通す四次元の視力を持っている。語彙が乏しいなんて欠落は時間盲に比べたら些細だ。こんな議論は最初から結論まで全部見通せて言及する価値もないはず。

[tbsmcd]

きのうも「スワヒリ語には『持つ』がない」というのを見たな……

[udzura]

“大学の授業を通じて「ことばの違いとこころの違い」に関する雑な議論に対する耐性を持たせることは、言語学者としての仕事として重要なものなんじゃないかと思っています。”

[anatadehanai]

こういうアラームは重要だけど、社会構造や世界観の特徴が言語に反映されていることもある、ということまでは言えると思う。親族呼称なんて言語によって大違いで、しっかり社会を反映している。

[tumo300-500]

ぼーっと流し読みしてると「そういうもんかね〜」となるあたり、文章ってパワーがある

[narwhal]

イヌイットの雪はガセネタ説が有力であるものの、ニポンジンが冷たい水と熱い水に全く別の語をあてていることは定説とされている。同じ水をただ温度の違いのみによって別のものとみなす彼らの原始的な認識には、我々

[filinion]

津軽に七つの雪が降るんだから、イヌイットならもっと多いと思うのはまあ仕方ない気がするけど。／四次元視覚を持ってるのは「スローターハウス5」のトラルファマドール星人。「タイタンの妖女」のはロボット種族。

[nnnmmmlll]

今日のトーテミスムを連想しました　https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1096135885

[Takapyon]

トラマドール?って空目したよ。

[Iridium]

トラルファマドール星人はパンクチュアル(単時点的)なので、こういう話にはならないんだよな。

[goodstoriez]

“「人はこの手のヨタ話が大好き」ということだと思います。「世界の果ての民族のことばとこころは、我々とこんなに違っている」というストーリーは、どうしようもなく人の心を掴むようなのです。”

[mozukuyummy]

そうは言っても、英語で牛を表す単語がcowsやbullやoxやbeefなど全然違う語源っぽいのが大量にあって(雌牛、雄牛、牛肉は全部「牛」&プロパティ)、牛についてどれだけ世界の解像度が高いんだ？！と思った記憶が。

[oriak]

文化を根拠にステレオタイプの偏見に陥ること、それが未開や辺境のものであれば強化されるということ。この手の思考停止は紋切り型のデマ自体にある種の思考がパッケージングされている(かに見える)からだろうか。

[rain-tree]

カート・ヴォネガット・Jr. って今までいまいち食指が動かなかったんだが、今ちょっと風がきてるんだよね

[delphinus35]

いかにもトラファマドール人（「タイタンの妖女」）が言いそう、と思ってしまったので、もっと別な名前がよろしいかと。

[ruinen]

トラルファマドール人はもとより、「バラ」「毒ガス」などの言葉選び、随所に『スローターハウス5』要素を感じます

[snowcrush]

言語学に限らずそれぞれの学問分野に変な幻想を抱いて入ってくる学生は多いよね。それを矯正できるかどうかが市井の「教養」とアカデミアとの違いだと思う。

[ishiduca]

"「ことばの違いとこころの違い」に関する雑な議論に対する耐性を持たせることは、言語学者としての仕事として重要なものなんじゃないかと思っています。実はこの話、なかなか学生に伝わらなくて本当に苦労した"

[sds-page]

ジョルジュ・サルマナザールの台湾誌　https://ja.wikipedia.org/?curid=1351549

[Wafer]

これは2014年8月31日の記事

[u-li]

知的欲求（だと思っている単純な欲望）と陥りがちパターンについて　”世界の果ての民族のことばとこころは、我々とこんなに違っている」というストーリーは、どうしようもなく人の心を掴むようなのです”

[kou-qana]

おお、耳が痛い。実際にエスキモーに雪の表現が多いかどうか、ではなく、言語の形と心の有り様を無批判に結びつける危険性（しかも上から目線で）の話と読んだ。

[spark7]

いかにも妥当と思ってしまったぞ...「日本語と日本人について書かれたものとして読めば、それが酷いヨタであることはすぐわかるじゃないですか」

[shoh8]

“2014-08-31”

[camellow]

良い例文だと思う。しかし素直な心を持たない者に例え話は通じない。些細な違いを見つけて「それとこれは違う！一緒にするな！」と理解を拒む。

[hazy-moon]

タイトルのso it goes感

[yuri_donovic]

非研究大学における専門教育の意義について、あるいは「教養」について。陥りやすい思考の罠的なものを教えるのがいいのかな…。

[osaan]

日本語の未来形、三人称は明治以後にできた、と丸谷才一が言ってたな。プーティーウィ！