担い手不足に直面している農業に、高齢者が参画する動きが広がっている。新型コロナウイルスの感染拡大で注目されるテレワークや、都市集中から地方分散の流れが、就農を後押しするか。 周囲にのどかな田園風景が広がる広島県庄原市のデイサービスセンター「ひまわり」。約30人の高齢者をケアしている生活相談員、松井由亀恵(ゆきえ)さん(51)には忘れられない出来事がある。昨年春、軽い認知症がある要介護2の80代女性がジャガイモの種まき後、普段は手放せないつえを畑に忘れて戻ってきたからだ。しかも、「あー、気持ちよかった」と満面の笑みだった。