以前、ファミレスでめしを食っていたら、近くにいた四人組のおばあさんの会話が聞こえてきたことがあった。それが面白かった。 ルンバの話をしていた。例の自動掃除機である。しかし当時は今ほど普及しておらず、四人のうち三人はルンバを知らないようだった。一人だけが、テレビで見たらしいルンバの話をしている。そして、その一人も記憶が曖昧だった。説明もたどたどしい。たぶん、本当にチラッと見ただけだったんだろう。 ・円盤のようなもの ・勝手に動く ・ごみを吸い取る この三つの情報を、あちこちに脱線しながら説明していた。残りの三人はざわついていた。「そんな訳のわからないものがあるはずない」という反応、「あなた、騙されてるんじゃないの?」という反応だった。 私は笑いそうになりつつも、一人でハンバーグを食べていた。もちろん耳は完全におばあさんたちのトークに向いていた。ぜんぜんハンバーグの味がしない。 おばあさんの必