初版88ガイドブックに掲載された「愛媛県の概説」文章です。 愛媛 多極的地域風土の顔 愛媛は四国の北西部にあって、北部は瀬戸内海に面し、西部は豊後水道に面する。その背後は標高約900~2000m級の急峻な四国山系が馬の背のように細長く東西に連なり、香川、徳島、高知と県境を分けている。山岳地帯が県土の約八割を占め、平野部が極めて少ない一方で海岸線の延長は、四国の約48パーセントを占めるほどに長い地勢特性を持つ。 そうした地理的条件もあって、生活圏域としても多極化し、燧灘に面する東予、伊予灘に面する中予そして宇和海に面する南予の三地域圏を形成している。さらにそれぞれの生活圏が面する海域には、東から越智諸島、忽那諸島および宇和海諸島など約200の島々からなる島嶼生活海域が広がっている。 このように愛媛は、海域から山間あるいは内海から外海へと連なる多極的地域風土の顔をもつ複合体であり、多彩な風土