警視庁公安部外事三課など(以下「公安警察」という)が作成した捜査資料114点(字数にして約70万字)がウィニーを通じてインターネット上に流出、全世界に拡散したというニュースが報じられたのは、昨年(2010年)10月30日のことだった。 流出したことにも驚愕したが、情報の内容には「ここまでやるか」と心底驚かされた。闇の中にあった公安警察の活動の一端が、文書によって赤裸々に暴かれたといえる。公安警察は、イスラム教徒(ムスリム)を狙い撃ちして、組織的に違法捜査を展開していた。モスクやイスラム・コミュニティーを徹底的に監視し、レンタカー会社・ホテル・金融機関・大学等から個人や団体情報を収集し、さらには情報収集目的での「事件化」まで。 2007年に作成された「実態把握強化推進上の要点」という文書によれば、実態把握の対象とされている「ムスリム」は、「言動、服装等からムスリムと認められる者」と定義され、