映画がやりたくて俳優になった 長年にわたって西島秀俊(50)の取材をしてきた映画ジャーナリストの中山治美氏は筆者の取材に対し、「西島さんは時間が空くと、ふらっと1人で映画館に入るような人」と語った。根っからの映画好きなのだ。 それだけに8月20日公開の主演映画『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)がカンヌ映画祭で脚本賞など4冠に輝いたのは感慨深かっただろう。 西島は「映画がやりたくて俳優になった」と何度もインタビユーで語っている。横浜国立大工学部を中退し俳優になった背景にも「映画の現場にいられたら、何とか食っていけるぐらいの生活でもいいんじゃないか」(※1)という思いがあった。 何とか食っていけるぐらいの生活でもいい――この言葉は綺麗事ではないだろう。それを裏付ける俳優人生を歩んできた。 西島は1992年、大手芸能プロの渡辺プロダクションから本格デビューした。翌1993年にはフジテレビの