ジャニー喜多川氏による性加害が社会問題になっている。報道によく登場するのが「グルーミング」という言葉だ。もともとは「毛づくろい」という意味だが、まるで毛づくろいをするかのように相手の警戒心を解き、性的な目的を達成しようとするところから、この言葉が使われるようになった。「性的グルーミング」や「チャイルド・グルーミング」と呼ばれることもある。 性被害を受けた子どもが、ときに加害者への信頼や親愛の情を示すのはなぜなのかが、この言葉によって説明される。その性質上、加害の事実が隠蔽されやすいが、グルーミングは性的虐待の一形態だ。被害に遭うのは女子とは限らず、男子も女子と同じぐらいリスクがあることがわかってきている。具体的にはどのようなことが行われるのか。識者は「詐欺みたいなもの」「マインド・コントロールの一種」と解説する。(取材・文:篠藤ゆり/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 塾の講師
トップ特集実名告発で示された道 元ジャニーズJr. 二本樹顕理さんインタビュー 父との確執 性被害、依存症、うつからの立ち直り 2023年6月11日 1年半の在籍期間中、複数回にわたる性被害にあったことを告白した元ジャニーズJr.の二本樹顕理さん。渡米後に日本人クリスチャンやゴスペルとの出会いから洗礼を受けたことも打ち明け、現在は同様の性被害をなくすため事務所に対し、誠実な対応を訴え続けている。実名、顔出しでの証言に踏み切った理由などについて話を聞いた。 学校や教会も無縁ではない 〝「福音の光」照らし一歩踏み込まないと〟 教育熱心な父親との間には、幼いころから確執があった。敷かれたレールから逃れたいとの思いもあり、芸能や音楽などアートへの道を志し、10代で劇団に所属したが、日の目を見ることはほとんどなかった。しかし、幸運にもジャニーズ事務所に移籍した途端、テレビ出演などの大きな仕事が決まり
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2017年、ベルリンに暮らすマルコと名乗るドイツ人男性は、幼少期に会った覚えのある大学教授の写真を新聞記事の中で見つけた。最初に気づいたのは、その薄い唇だった。ほとんど見えないほど薄い唇が、子供心にも不快だったことを思い出す。 そして記事を読んだマルコは、写真のヘルムート・ケントラー教授が、ドイツを代表する著名な性科学者であったことを知って驚いた。その「ケントラー実験」に関する調査記事によれば、ケントラーは1960年代後半から、育児放棄された子供たちを小児性愛者の里親のところに送り込んでいたという。 実験はベルリン州政府によって認可され、資金援助もされていた。1988年にケントラーが州政府に提出した報告書には、実験が「完全な成功」だったと記されていた。 マルコは里親の家で育ち、その養父は頻繁にマルコを連れてケントラーの家を訪ねていた。マルコは現在34歳。1歳の娘がおり、育児を中心に日々過ご
3月25日から公開予定の映画「蜜月」。同作のメガホンを取った人気映画監督の過去の女優たちへの行動を巡り、同作の脚本家から製作側に見解を問うメールが出されていることが「週刊文春」の取材で分かった。 俳優と映画監督の二刀流で活躍 映画「蜜月」では、主人公・美月役を人気女優の佐津川愛美が務め、義父役を板尾創路、夫役を永瀬正敏が演じている。「家庭内の性被害」にスポットを当てた作品だ。3月8日に完成披露上映会が行われたが、佐津川が登壇すると同時に感極まって泣きだす一幕もあった。この日は「国際女性デー」だったこともあり、佐津川はすべての女性たちに向けて「まだまだ生きにくい時代だと思うけど、それを解決していくのは(それぞれ)自分自身かなという思いがある」などと語り、公開を前に話題を集めている。
2021年10月、トゥールーズの路上で死体のパフォーマンスをしてフェミサイドに抗議する女性たち Photo by Alain Pitton / NurPhoto / Getty Images 新たな年が始まって20時間も経たないうちに、フランスの異なる場所で、同じ特徴を持つ殺人事件が3件起こった。 1日、フランス西部のソーミュールで28歳の女性の遺体が発見された。逮捕されたのは、彼女のパートナーだという21歳の男性。さらに同日、北東部のムルト=エ=モゼル県で、夫に刺殺された56歳の女性の遺体が見つかった。彼女の胸にはナイフが刺さったままになっていた。 2日には、南東部ニースで、45歳の女性の絞殺された遺体が車のトランクから見つかった。警察が彼女の元パートナーである60歳の男性に事情聴取をしたところ、被害者と激しく口論になったことを認めた。車の中からは彼らの24歳の息子も遺体で見つかっており
【AFP=時事】(更新)フランスのカトリック教会内での児童性的虐待問題を調査する独立委員会は3日、1950年以降に児童を虐待していた司祭や教会関係者が2900~3200人に及ぶことをAFPに明らかにした。 【動画】コロナ禍でオンライン上の児童性的虐待が急増 親が加担も 報告書の公開を前にAFPの取材に応じたジャンマルク・ソベ(Jean-Marc Sauve)委員長は、この数字は「最も少なく見積もった」結果だと述べた。 独立調査委は2018年、国内外の教会を揺るがした児童性的虐待スキャンダルを受けて仏カトリック教会が設置した。法律家や医師、歴史学者、社会学者、神学者ら22人で構成されている。 2年半にわたり教会や裁判所、警察の記録の調査と目撃者への聞き取りを行った結果をまとめた報告書は、5日に発表される予定。 調査では、児童性的虐待の加害者が聖職にとどまり続けることができた教会内部の「メカニ
ここ近年「監護者わいせつ罪」や「監護者性交等罪」という罪名をニュースで目にしたことはないだろうか。 2017年の刑法一部改正により新設され、親や養親などの監護者が、18歳未満の者に対して「監護者であることによる影響力」に乗じて、わいせつ行為や性交をした場合、これらの罪に問われるようになった。通常の強制性交等罪のように、暴行や脅迫などの行為がなくとも成立する。 多くの刑事裁判を傍聴するライターの高橋ユキ氏によれば、被告人となった父親たちの言動には、「ある共通点が見えたり、似た証言をすることがあった」という。それは一体、どんなものなのか。高橋氏の寄稿をお届けする。 ●傍聴にも一苦労 「監護者わいせつ罪」や「監護者性交等罪」に問われた事件の傍聴は、なかなか骨が折れる。 逮捕されたり、または有罪判決を受けた“監護者”たちの実名は報じられない。被害者は監護者の子である場合があるため、被害者秘匿の観点
安心できるはずの家で、養育者やきょうだいから性的虐待を受け、苦しみを抱える子どもたちが大勢いる。全国の児童相談所(児相)が把握した虐待のうち、「性的虐待」はわずか1%程度だが、これは氷山の一角にすぎない。親の暴力などは明かすことができても、性的虐待は最後まで話せない子どもが多く、潜在化しやすいためだ。 実際、児相の現場では身体的虐待やネグレクトなどで一時保護した子どもが、性的虐待も受けていたと後から判明するケースが相次いでいる。深刻さが明らかになり、行政もようやく重い腰を上げた。 (共同通信=川南有希ほか) ▽告白 「人に言えば、お母さんの心の病気がひどくなる」。関東地方の児相で一時保護された女児は、父親から性的虐待を受けていた。しかも、父親は女児にこう言い含め、娘が他言しないようにしていた。子どもがやっとの思いで児相に訴えても、母親が真実を受け入れられずに否定するケースもあり、虐待の中で
2000年代に入り、世界各地、特にヨーロッパやアメリカにおけるカトリック司祭が犯した性的虐待事件が告発されるようになった。それも一因なのだろう、ヨーロッパや北米のカトリック信者数の人口における割合は低下し、これらの地域では司祭の数も年々減少している。 【マンガを読む】日本の学校で起きている、性暴力の現実… 7月17日に公開されたフランソワ・オゾン監督の新作『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』は、フランスを今も揺るがせている係争中のカトリックの神父による性虐待事件を映画化したもので、2019年度のベルリン国際映画祭で審査員グランプリ銀熊賞を受賞した。 聖職者による性的虐待については、これまでも非常に優れたハリウッド映画やドキュメンタリーが存在するが、犯罪や教会の隠蔽性に重点を置いたこれらの作品と異なり、オゾン監督の新作は被害を受けた3人のサバイバーがそれぞれにトラウマと向き合い闘うさまを描い
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