人はなぜ被害者を責めるのか?(公正世界仮説がもたらすもの)について 「心理学ミュージアム」は、心理学に関わる職種の方だけでなく、心理学に興味のある方、心理学関係の進路を考えている中学生、高校生にも興味を持っていただけるものを目指しています。アカデミックな心理学の内容を、親しみのもてる雰囲気の中で楽しみながら学んでいただけます。
亡くなった義理の父が小脳に軽い梗塞発作を起こした後、怒りっぽくなったと周りが気にしていた。同じようなことは多くの人が経験すると思うが、私たちの行動は全て脳の活動により決まることを考えると、当然の話だ。実際には、もっとドラマチックな症例が存在する。鉄パイプが前頭葉に突き刺さって左の腹側正中前頭前皮質(vmPFC)が大きく障害されたあと、それまでは慎しみ深い紳士的性格が一変し、粗野で凶暴な性格に変わってしまったフィネス・ゲージの症例や、扁桃体の視床下部を圧迫する脳腫瘍が発生したあと性格が変わり、ついに母親、妻を含む16人を射殺したチャールズ・ウィットマンの症例は脳科学の本にもよく紹介されている。 今日紹介するバンダービルト大学からの論文は、これまで脳障害が犯罪を誘発したことが明らかな報告例40例をもう一度読み返し、現在進んでいる脳内各領域のネットワークと重ね合わせて犯罪につながる脳ネットワーク
記憶 全人類に読ませたいので、とりあえずここに書く。R・デーケン『フロイト先生のウソ』(文春文庫)197-198ページより。 最初の調査は、一九八六年のスペースシャトル・チャレンジャー爆発事故の翌日におこなわれた。約一〇〇名の被験者に、事故のニュースをどんな状況で聞いたかを書面で答えてもらった。回答は、七項目の質問(「そのとき、どこにいましたか」、「誰といましたか」、「そのニュースを何で知りましたか」など)に答える形でおこなわれた。数年後、コンタクトが取れた被験者(約半数)に再度同じ質問リストに答えてもらった。最初の調査のときと答えが食い違う項目があった人には、暗示や誘導尋問や助言によって正しい記憶を呼び覚まそうとした。 その結果は、映画「トータル・リコール」(アーノルド・シュワルツェネッガー扮する主人公が、架空の冒険の記憶を植え付けられる)を彷彿とさせるものだった。まず、回答者の四分の三
先月の台風18号による大雨で初めて「特別警報」が発表された地域で、人々がどう行動していたのかNHKが調査した結果、「特に何もしなかった」という人が7割に上ることが分かりました。 専門家は「地域の危険性を知り、いざという時にどう行動すべきか、確認しておくことが重要だ」と指摘しています。 NHKは先月16日、台風18号の大雨で「特別警報」が発表された京都府と滋賀県、福井県の市町村の男女を対象に今月4日から3日間、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという方法で世論調査を行い、60%余りに当たる1809人から回答を得ました。 それによりますと、当時「特別警報が出たことを知っていた」と答えた人は69%で「知らなかった」の25%を大きく上回りました。 「特別警報」を知ってどう行動したか聞いたところ▽「すでに避難していた」と答えた人と▽「避難した」という人がそれぞれ1%▽「自宅で
長野県の南部、飯田のあたりは、高山の多い信州の中でも特に山深いところである。平地といえるような土地はほとんどなく、ろくな道すらないのだけれど、そんなところにも古くから人は住んでいるもので、天竜川に沿ってぽつぽつと小さな集落がいくつか点在している。 そうした集落をひとつひとつ数珠繋ぎするようにして、豊橋と辰野を結ぶ飯田線が全通したのが昭和12年。なにせ平らな土地のほとんどない深い山地のこと、さぞかし難工事だっただろうことは想像に難くない。さてその飯田線に、中井侍(なかいさむらい)という、ちょっと変わった名前の無人駅がある。長野、静岡、愛知の三県の県境あたりに位置する駅である。 と、なんだか紀行文のように始まったのだけれど、別に私はこの中井侍に行ったことがあるわけではない。飯田線にも乗ったことはない。ただ、ある精神医学誌の論文にこの地域のことが載っていたので、ちょっと興味を惹かれただけである。
【MSNBC/etc】1979年、東京都小平市のとある民家で、精神科医の妻と母親が刺殺されるという事件が発生した。犯人の桜庭章司はその数時間後、池袋駅で銃刀法違反で逮捕されたが、取り調べで桜庭が語った犯行の動機は余りにも衝撃的なものだった。桜庭は、15年前、殺害した家族の精神科医にロボトミー手術を受け、その復讐をしたかったと自供したのである。そして蕩々と語られはじめた桜庭の過去は余りにも悲痛なものだった。 桜庭はそれまでスポーツライターとして働いていたが、ある日、些細ないざこざを起こして警察に逮捕された。そして精神鑑定を受けた結果、異常が認められたため、精神病院への強制入院を命じられたのである。 桜庭は、入院後もしばらくライターとして働き続けたが、ある日、医師が肝臓検査を理由に桜庭に全身麻酔をかけた。そして桜庭が目を覚ましたとき、彼はそれまでとは何かが全く変わっていた自分に気づいた。 医師
前の記事 超小型カメラとマイク内蔵のサングラス(動画) 権力者はなぜ「堕落」するのか:心理学実験 2011年6月 3日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Jonah Lehrer IMFのカーン専務理事が、ホテルの女性従業員に対する性的暴行などの容疑で逮捕されたことを知らせるニュース画面。Image: Gwydion Williams/Flickr 権力者が正しくない行動をするというニュースは大量にある。彼らが、自分より地位が下にある者に対して横暴にふるまい、権力をかさにとった性的行動をとったりすることは、気が重くなることではあるが、驚くことではまったくない。問題は、このようなひどい行ないはなぜ起こるのかということだ。権力はなぜ堕落するのだろう? 心理学者たちによると、権力者の問題のひとつは、他者の状況や感情に対する共感性が低く
前の記事 レーシングカーになった『ニッサン・リーフ』 iOS、「ユーザーの全移動を記録」が判明:地図表示アプリも 次の記事 疲労や「死の意識」で脳が「保守化」:研究結果 2011年4月21日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Jonah Lehrer 米国の裁判官。画像はWikimedia われわれは倫理的・道徳的判断をどのように行なうのだろうか。われわれの判断が事実のみに基づき、合理的に判断しているのならすばらしいのだが、どうもそうではないようだ。 以下、最近のPNASに掲載された論文を紹介するEd Yong氏の文章を見てみよう。 上のグラフは、イスラエルのネゲブにあるベングリオン大学のShai Danziger氏が、同国の刑務所で10カ月間に行なわれた仮釈放審査委員会の審問、計1112回分の結果を基に作成したものだ。 グラフ
トップ > 東海エリア地震情報 > 地震特集「備える」 > 5月の記事一覧 > 記事 【地震特集「備える」】 避難遅らす「正常性バイアス」 広瀬弘忠・東京女子大教授 2010年5月1日 津波の避難勧告が出ても避難しない人が問題になっている。「自分は大丈夫」。そんな根拠のない気持ちを抱いてはいないだろうか。そんな心には「正常性バイアス(偏見)」が強く働いていると災害心理学の専門家、広瀬弘忠東京女子大教授は言う。打ち破るにはどうしたらいいのかを聞いた。 避難が遅くなる仕組みは? 現代人は今、危険の少ない社会で生活している。安全だから、危険を感じすぎると、日常生活に支障が出てしまう。だから、危険を感知する能力を下げようとする適応機能が働く。これまでの経験から「大丈夫だ」と思ってしまいがちだ。これが「正常性バイアス」と呼ばれるものだ。 強い正常性バイアスのために、現代人は今、本当に危険な状態でも「
前の記事 Apple社の新戦略は「おサイフiPhone」? お金が人を幸福にしない理由:心理学実験から 2010年8月18日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Jonah Lehrer 画像はWikimedia お金は、必ずしもわれわれを幸せにはしない。貧困レベルを脱すると、「富のレベル」は「幸せのレベル」にそれほど大きな影響を与えない(特に先進国では)。歴史上最も豊かな国と考えられる21世紀の米国でも、人生に満足できない人たちが増えてきているようだ。 お金と幸福が単純に比例しないということは、「お金はなぜ人を幸福にしないのだろうか?」という興味深い問いを生む。この問いに対して、先ごろ『Psychological Science』誌に発表された研究が、1つの回答を出した。 ベルギーのリエージュ大学の心理学チームが行なったこの研究
kikulog 記事一覧 カテゴリー別記事一覧201410 2014/10/22 江本勝氏の死去 201409 2014/09/12 生協の「書評対決」の書評 201407 2014/07/04 「いちから聞きたい放射線のほんとう」サポートページ 201406 2014/06/04 「いちから聞きたい放射線のほんとう」訂正箇所 201404 2014/04/23 朝日新聞に書評が出るようです [kikulog 647] 2014/04/09 理研CDBの騒動について [kikulog 646] 2014/04/07 博士論文中での剽窃について [kikulog 645] 201403 2014/03/17 「いちから聞きたい・・」のあとがき [kikulog 644] 2014/03/03 論文: Structural flexibility of intrinsically disord
思いは言葉に。 はてなブログは、あなたの思いや考えを残したり、 さまざまな人が綴った多様な価値観に触れたりできる場所です。
前の記事 ノートパソコンを遠隔で「活動停止」:エリクソンとインテル 産総研チームによる「最も暗黒な物質」 次の記事 集団の無責任:「傍観者効果」研究を生んだ殺人事件 2009年4月 2日 Tony Long 38人の隣人が目撃したり声を聞き付けたりしていた中で、Kitty Genoveseさんは殺された。 1964年3月13日に、28歳のCatherine(Kitty) Genoveseさんがニューヨーク市の自宅アパート付近で、29歳の男にナイフで刺殺される事件が起きた。Genoveseさんは35分間の間に3度襲われたが、その間、隣人たちはGenoveseさんが助けを呼ぶ声を無視した。 警察によると、Genoveseさんの助けを呼ぶ声を聞いた人は少なくとも38人にのぼり、彼らの何人かは現場を目撃した可能性もあったという。だが、誰もGenoveseさんを助けに行かず、警察に通報したのは1人だ
仏リヨン(Lyon)にある精神科病院の喫煙室内に座る患者(2006年12月17日撮影。資料写真)。(c)AFP/JEAN-PHILIPPE KSIAZEK 【3月3日 AFP】(一部訂正)双極性障害(そううつ病)の傾向がある人は、社会的成功やお金と名声を得ることに対し、そうでない人よりも強い願望をもっている――。こうした調査結果が、英国の臨床心理学の専門誌「British Journal of Clinical Psychology」で2日、発表された。 双極性障害とは、ヒトの気分や気力、能力などが、通常とは異なるしばしば劇的な変化をみせる脳の障害で、気分の高揚や思考過程が非常に速まること、多弁などの特徴がある。研究者らは、この双極性障害患者27人を含む103人を対象に調査を行った。 調査対象者は、心に最も強く抱いている人生の目標を調べるために作製されたアンケートへの記入を求められた。この
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く