ソニー(現ソニーグループ)の経営トップを10年にわたり務めた出井伸之氏が2日、亡くなった。IT時代の到来を予見し、ゲームや映画などのエンターテインメント事業を広げ、現在のソニーの礎を築いた。その先見性や人柄を、関係者は惜しんだ。 シンポジウムに細めのパンツに真っ赤な靴で登壇 「22年前の梅雨時に自宅で晩酌していたら電話がかかってきてね。出井さんからで驚きました」 当時、日立製作所の半導体部門の第一人者だった牧本次生さん(85)はこう振り返る。半導体事業に力を入れようとしていたソニーを「手伝ってほしい」と誘われた。ライバル企業に移るのは迷いもあったが、出井さんが日立の社長に会って頼むことになった。2カ月後には移籍した。 出井氏は「これからはITの時代が来る。それを支えるのは半導体だ」とよく口にしていた。経営から身を引いたあと、ソニーの半導体はスマートフォンのカメラなどに使われ稼ぎ頭になった。