15歳未満が読んだら目が腐る。 ぽかぽかと陽気な日光が窓から入り込む麗らかな午後。こんな日に程よくまどろみながらの読書は、最高の贅沢だ。 これで小学生の家庭教師なんて面倒な仕事がなければ、もっと最高なのだが。背伸びしたい盛りの12歳は、なかなかに厄介な相手だった。 「せーんせ、何してんの?」 「読書」 ほら、また始まった。このぐらいの歳の子は、大人のやることになんでも興味を持つ。 案の定今日も、カナは俺の手にする分厚い本に興味を示した。椅子をくるりと回転させ学習机に背を向けて、不思議そうにこっちを見る。向日葵柄のワンピースから伸びる長い足をばたつかせ、やや退屈げだ。 「それ、今週号?」 俺の持つジャンプの表紙を覗き込もうと、ポニーテールが左右に揺れる。彼女に見やすいように本を持ち上げて、カナに訊いた。 「何に見える?」 「ジャンプの今週号」 「そうだね」 「読んだら貸して」 「カナちゃんが