本書は鹿野靖明さんという重度障害者の物語だ。 彼は筋ジストロフィーという難病にかかり、自分一人では生きる事ができない障害者になったものの、数多のボランティア達の手を借り、施設に入らず自宅で何十年もの間、日常生活を送り続けた。 完全に進行してしまった筋ジス患者は全身の筋肉が使えなくなる事から、自分の意志で肉体を動かすのがほぼ不可能となる。 いわゆる全身不随みたいなもんで、1人では食事すら食べられないし、胸と喉の筋肉が衰える事から人工呼吸器の装着ならびに”24時間”の痰の吸引が生きるにあたって必要となる。 普通、このような状態になったら病院あるいは介護福祉施設での世話を余儀なくされる。 傍から見れば施設送りも仕方がないとしかいいようがないこの状況だが、自宅でない場所で介助される側の苦しみは筆舌に尽くしがたいものがあるようで、鹿野靖明さんは施設を抜け出し、数十年もの間、ほぼ無償のボランティア達と