数年前に、「製造業は他の産業に比べてIT投資の面で遅れており、IT活用に関する意識も低い」といった趣旨のことを書いて、“現実を知らない”識者から「現実を知らない者の暴論」とこっぴどく叱られたことがあった。当時はまだ「大手製造業=IT活用先進企業」という神話が残っていた頃なので仕方が無いが、さすがに今は、製造業のIT部門も含め多くの人に同意してもらえると思う。 もちろん例外的な先進事例はあるが、多くの製造業では、企業の収益に直接貢献するようなIT投資はほとんど行われてこなかった。そして今でも状況は同じ。例えば、様々な業種のIT部門が参加する研究会で「今後はビジネスに直結するIT投資、売り上げを伸ばすためのIT投資が必要」といった話になっても、賛同するのは金融や小売りなどサービス業のIT部門ばかり。製造業のIT部門からは「むしろセキュリティへの投資が重要」といったピント外れな意見が出る始末だと