(c)OCEANIC PRESERVATION SOCIETY. ALL RIGHTS RESERVED. 『ザ・コーヴ』は先に日本で公開された『ビルマVJ』を押さえアカデミー長編ドキュメンタリー賞のを獲得した作品というよりも、日本での上映中止事件をめぐって注目を集めることになった。しかしそうしたセンセーショナルな観点を差し置いても、興味深い作品である。太地町のイルカ漁の実態を暴いていこうとする展開は、その浸透度はともかくクジラ漁/イルカ漁が地域に食文化に認識されている日本人の観客にとっては、あまりにも答えがあらかじめ導き出された状態であることから、この結末に完璧に満足する人は少ないだろう。リック・オバリー氏の描き方についても、「『わんぱくフリッパー』の主人公がひとりでイルカ漁を止めさせるために活動を続けている」という好奇心を観客に植え付けはするが、尊敬できる(またはできない)人物としてオ