昔は、焼肉と同様にしゃぶしゃぶも高級料理的な存在で、家庭で食べる機会は、ほぼなかったと思う。1991年の牛肉の自由化で安価で日本人の嗜好にあった米国産牛が大量に入ってきたことで、それらを扱う外食産業は大きく発展した。そして、以前は高級料理で食べる機会がなかったしゃぶしゃぶが、一般大衆でも食べれるようになったのである。 牛肉の輸入自由化で人気爆発 筆者が属した焼肉チェーンも、それまでは中間所得層をターゲットのニーズに合致した店づくりをしていたが、1995年に将来を見据え、若年層を顧客予備軍として開拓するために、しゃぶしゃぶ食べ放題を1980円で始めたのである。 人気の情報誌『関西ウォーカー』にも取り上げられ、店は若者を中心に殺到し、長蛇の列だった。ラーメン店などファストフード店と違って、しゃぶしゃぶ食べ放題は2時間の食べ放題だから、2時間も客が席に滞留するのに、それでもお客さんが諦めて帰るこ