二光子レーザー顕微鏡が開発されてから、生きた組織を観察する研究を随分目にするようになってきた。私自身は「ただ見るだけという研究は想像力をなくす」と公言して、研究室の誰かがこの方法を提案すると、常に批判者の立場に立ってはいたが、結局は想像力が間違った思い込みにつながっていることをなんども思い知らされた。今日紹介するエール大学からの論文も毛根組織の再生を生きたまま観察し続けることで、これまで想像力に頼って陥っていた間違った思い込みを訂正した研究で6月4日号Natureに掲載された。タイトルは「Niche-induced cell death and epithelial phagocytosis regulate hair follicle stem cell pool(ニッチにより誘導される細胞死と上皮細胞による貪食が毛根の幹細胞プールを調節している)」だ。このグループは2012年、同じ方法