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掃除・片付け
delete-all.hatenablog.com
僕は食品会社の営業部長だ。部下Aから案件進捗状況の報告を受けた。Aは他部門から営業へ異動してきた50代後半のベテラン社員だ。時折トリッキーな言動をキメて僕の心をざわつかせるので少々不安を覚えていたのだが、「相手の反応はどうでした?」という僕の問いに「あーはいはい。なかなかいい反応でしたよ。来週、次の段階に進むことになりましたー」という言葉が返ってきたので、ほっと胸をなでおろしたのである。 数時間後、Aと同行した他部署のスタッフBから「Aが相手から求められた資料とかけ離れたものを提示して微妙な空気になった」という報告を受けた。そのため仕切りなおしで来週再提出。「なかなかいい反応(自称)」はいずこ。ABどちらが正しい報告なのか。判断材料が乏しいため、培ってきた信頼と関係性で判断するほかなかった。 Aとはいくつかの案件を一緒に担当した仲だ。想定外の展開に陥った交渉、厳しい納期の企画作成、死線をく
部下の作った「絶対にダメ出しされない」究極の提案書がすごかったのでシェアします。 - Everything you've ever Dreamedのつづきです。 あいかわらず食品会社の営業部長という夢も希望もない仕事に従事している。今の僕を支えているのは、夢のない仕事で心身を壊したくない、無事に定年退職したい、という思いだ。営業部門には時々、他部門でいまいちな人たちが「営業の適正があるかもしれない」という淡い期待をもって送られてくる。この夏から営業へ異動になった50代後半のTさんは少し違う。前の会社では長年営業職をやっていたので、営業の適正あり、と判断されての異動、そう思っていた。 ウチの会社のシステムは、部長以上の役職者は全社員の日報を閲覧できるようになっている。僕は、営業開発部の部下の日報を翌朝出勤した時点で前日分をチェックし、気になった点があれば、呼び出してヒアリングしている。部下を
川崎市の学校給食使用食材で産地偽装が行われた事件、加工した業者に警察の捜査が入って大きな問題になっている。 www3.nhk.or.jp www.yomiuri.co.jp 業者は寿食品という給食会社。かつて神奈川県を主戦場に給食営業マンとして働いていたとき給食コンペで何十回も戦ってきた競合相手である。今は付き合いは切れているけど何人かの名刺は探せばあるはず。 少し前に起きたホーユーの学食問題とあわせて給食業界に対する不信感は増すのは避けられないが、今回のケースは少し異なるのでその違いがわかるように契約面から解説したい。 学校給食(主としてセンター方式)は地方自治体が発注者となり応札、落札した業者が業務を請け負うという構造になっている。わかりにくいのは、地方自治体が発注者となって数校から数十校を請け負う学校給食事業は、一般的に給食調理業務のみを受託する点だろう。食材調達は別なのだ。我々給食
食品会社の営業部長という夢も希望もない仕事に従事している。特に最近は、皆さまご存じのとおり食材の高騰の影響を受けて上下左右から圧をかけられて悲鳴をあげている。そんな絶望的な職業人生でも何とかやっていられるのは、ときどき、ほんと、たまーにだけど、「人間ていいな」「自分の人生も捨てたもんじゃないな」と思えるような、きらり輝く瞬間が1か月に3秒ほどあるからだ。 先週、企画提案書の作成を部下に依頼した。部下は90年代頭から営業をやっている50代後半のTさん。この夏から本人たっての希望で企画部から営業へ異動になった僕より9歳年上の社員だ。頼んだのは、会社の衛生・消毒部門を活かす、法人向け衛生チェックパッケージの企画提案書だ。ある程度の業界経験があればできる、簡単な仕事。困難も不安もない。僕は概要を説明して「じゃ。お願いしますね」と依頼した。Tさんは「あーはいはい」といつもの、良く言えば余裕のある、悪
「港区女子」「ギャラ飲み」という不吉なワードを見かける機会が増えた。それらについて調べようとは思わない。だいたい想像できる。人間の醜悪な部分を煮詰めたものだろう?チンパン同士のチンマン駆け引き観察に費やす時間は、僕らの短い人生にはない。ヒューマンらしく毅然とした態度でありたいものだ。「ありたい」って希望/願望/wishなのは、現在の僕がそうでない状況にあるからだ。 この夏、小説にリアリティを付与するために、僕はⅩで活動していたとある女性とのコンタクトを試みた。取材して話を聞くためである。だが、病的な相手女子の金銭への執着と待ち合わせ時間へのルーズさが原因でコンタクトは中断した。(経緯については→パパになりました。 - Everything you've ever Dreamed)エントリーで「アカウントを削除して逃げた」と述べたがひとつ説明が欠けていた。相手の執拗な会いたい/金をよこせ要求
ジャニーズ事務所の問題が連日ニュースになっている。会見で元少年隊の東山社長から『プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達』のナレーションそのままの口調でジャニーズ事務所の将来的な解体が語られたのはジャニーズに興味のない僕にも衝撃的であった。まさか、栄華を極めたジャニーズが戦力外通告を受けるとは…。現在の所属タレントは新事務所とエージェント契約を結ぶことも語られた。公募で決められる新会社の名でジャニーズの名を覆い隠す狙いが見えるが実際には難しいだろう。Xが旧Twitterと呼ばれているように元ジャニーズと呼ばれることは容易に予想できる。一連の問題について多くの人の興味をひき、X(旧Twitter)やブログなどで多くの人が考えや意見を述べ、議論が交わされている。なかには元マリスミゼルのガクトさんやスカルノ元大統領夫人であるデヴィ夫人のように率直な意見を述べて炎上してしまった人も多い。僕個人の意
mainichi.jp 西日本を中心に学校や寮で食事の提供が停止する事態が起きている。運営会社は広島市に本店のある給食会社ホーユー。ホーユーの名はコンペで何回か見かけたことがある。詳しくは知らない。 給食事業はリターンも少ないけれどもリスクも少ないビジネスだ。給食設備や用具や食器をクライアント側の負担で事業が行えるからだ。ひとことでいってしまえば経費負担が軽いのだ。食材費は実費、人件費も委託費でカバーできる。「莫大な利益が出せるか?」といわれると案件次第だが、一事業所当たりで赤字になるリスクはとても少ない事業である。 そのため、近く破産申告するとみられるホーユーの社長が人件費や食材費の高騰を理由に上げているのを知って「妙だな…」とコナン君のように疑ったのがこの文章を書いた表向きの理由である。なお裏向きの理由は奥様からの「あなたの会社は大丈夫なのか」という不安を取り除くためである。 一般的に
定例部長会議の終盤にビッグモーター社の話題になった。「あれだけとんでもないことをしでかした会社が倒産しないなら、何もしていない我が社は倒産しない」「ゴルフ好きの風上にも置けない」「除草スタッフはきわめて優秀では?」くだらない雑談だった。平和な空気が一変して地獄になったのは、上層部の一人が何を血迷ったのか「創業者の2代目、息子を要職にするからいけないのですよ」と言ったときだ。僕は社長が目を落としていた資料から目線をあげた瞬間を今でも覚えている。その直後に社長が放った「私も創業者の息子、2代目だが?」というひと言で会議室は静まりかえった。しんとして耳が痛いほどでした。口を開いたら死ね。そんな空気。窒息死したほうがマシ。そんな空気。 重苦しい空気の中、ほほ笑みをたたえた社長が口を開いた。「世間では2代目を要職に就けることは好意的に思われていないようだね。キミらはどう思う?」。社長は名指しして聞い
今から40年前、小学生の頃、プロ野球中継といえば巨人戦だった。それゆえ巨人ファンが圧倒的に多かった。関西ではその地位は阪神だったのだろう。僕はヤクルトスワローズとロッテオリオンズのファンだった。ヤクルトはショートの水谷、ロッテは村田と袴田のバッテリーが好きだった。神宮と川崎に連れていかれて試合を見たのがファンになったきっかけだ。ヤクルトのファンという永久に続く苦行の道へ突き落としてくれた父には感謝している。動いている水谷や袴田の映像を見るのは極めて稀だったと記憶している。夜のスポーツ番組のプロ野球コーナーの時間にはすでに寝ていたし、そもそもヤクルトやロッテが取り上げられてもごくごく短い時間だったからだ。朝刊のスポーツ欄の昨夜の試合結果を見て、水谷の貧打ぶりを確認して溜息をつき、彼の堅実な守備を頭の中で動く姿を想像して埋め合わせしたものだ。 80年代のヤクルトは暗黒期真っ只中でめちゃくちゃ弱
私事ですが、先月、パパになりました。「ありがとう」「おめでとう」…祝福の前に話を聞いてほしい。パパといっても父ではないのだ。パパ活のパパである。P活のPである。僕がめでたくパパになれたのは、ひとえに「株式会社はてな」の不義理のおかげである。心の底から感謝している。きっかけは「はてなブログ」への記事有料機能の実装であった。 記事の有料販売をはてなブログではじめよう! 人気ブロガーが書く有料記事の活用例も多数ご紹介 - はてなブログ このムーブは素晴らしい。遅すぎたくらいだ。だが、皆さんもご存じのとおり、この新機能を紹介するアンバサダー的な立場の有力ブロガーに僕は選ばれていない。声すらかけられていない。2003年からはてなを使い続け、noteにも浮気せず、企画で声をかけられたら「いざ鎌倉」の勢いで参加し、ほめられもせず、20年間、ひたすらダイアリーとブログを書き続けてきた僕のプライドは踏みにじ
「イビキがうるさい」という奥様からのクレームをきっかけに睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査を受けたのは前回のブログでご報告させていただいたとおりである。【ご報告】入院しています。 - Everything you've ever Dreamed 検査結果が出た。重症。1時間当たりの無呼吸+低呼吸の指数(AHI)が30回以上であれば重症と診断されるが、僕は59.3回/時であった。 (検査結果 重症でした) ほぼ毎分無呼吸。なお基準値は毎時5回以下。さらに最長で90秒呼吸がとまっていた。タッチでさえ呼吸が止まるのは1秒なのに僕は1分半。また問題のいびきは睡眠時間の49.7%かいていた。詰んだ…。先生は診断結果を淡々と述べたあとで「完全に重症ですね」と告げると、高血圧、糖尿病、動脈硬化、脳梗塞や心筋梗塞といった重大な合併症の可能性、突然死の可能性等々のリスクを説明してくれた。早急に対応しないとヤ
私事ですが入院しました。人情紙風船な現代社会です。心配してくれる人はいないと思いますけれども、2023年6月16日金曜日の夜、個室でひとりやることもなく暇を持て余しているので経緯を説明いたします。 別室で就寝している奥様からたびたび「イビキがうるさい」というクレームを受けてきました。私が就寝している別室から深夜に、「はあ…はあ…」「グガー!グガー!」大きく分類すると2種類の音が聞こえてくるというのです。「はあ…はあ…」については心当たりがありましたが、「グガー!グガー!」のような騒音については自覚がありません。彼女の言葉を信じるならば枕元で道路工事をしているような激しい音だというのです。慢性的な口臭に加え、口からの騒音発生が真実なら公害対策をしないわけにはいきません。私は、マウスピース、鼻リング、鼻拡張テープ、口テープ、横向き寝枕、レロレロ舌体操…市井でイビキに良いとされるものを試してみま
今年の8月で結婚12年になるが、奥様の価値観をまったく受け入れられないでいる。価値観の違いが顕著にあらわれるのは金銭感覚だ。彼女の金銭感覚が理解できない。「老後に備えて金を貯める」をスローガンに緊縮財政を敷きながら、僕の1か月分のこづかいよりもはるかに高額な化粧水を買い続けている。理解できない。平和主義者の僕にできることは「化粧水は大事だよねー」と心で泣きながら化粧水の箱に記載された成分を確認することしかなかった。彼女も僕の価値観、金銭感覚が分かっていない。たとえばガンプラ。「ガンダムエアリアル」と「ガンダムルブリス」の違いを彼女に説明しても理解できなかった。僕が毎晩ハードに利用している海外のエロティックな動画サービスの必要性もわからないだろう(今、僕はクレジットの利用明細(海外)を精査されるのを恐れている)。 より深刻なのはアイテムが被ることの多い生活必需品だ。歯ブラシ。僕は神奈川県下に
30数年前に僕の父は死んだ。自死だった。僕と父は見た目がよく似ていたので父が死んだとき自分が死んだような気がした。嫌だった。その気持ちは僕のなかに今も変わらずあり続けている。不思議だ。当時は自殺だったのがいつのまにか自死という表現になったり、こういう話題をするときに相談窓口の連絡先が表示されるようになったり、変わったものが多いというのに変わらないものはまったく変わらない。遺書はなかったので理由はわからない。もう永遠にわかわないだろう。前兆もなかった。近くにいた僕ら家族には感知できなかった。だから父が理由不明で自死したという事実だけが残った。今振り返ってみれば、父は絶対に悟られないように仕組んでいたのだろう。それでも10代だった僕は理由を探すことに躍起になった。一人の人間が、家族のいる男が、何の理由もなく命を断つことが信じられなかった。許せなかった。なにより僕は自分の落ち度を否定したかったの
「部課長以上は365日24時間所在を明確にしろ」「幹部に公私はない。私用での年休は控えろ」などと問題発言をしていた人事の人が、私用で年休を取って急用で呼び出そうとしても音信不通で所在不明になっていて言い訳が今から楽しみすぎるぜ。 — フミコ・フミオ (@Delete_All) 2023年6月1日 「部課長クラス以上は365日24時間所在を明確にしろ」「幹部社員に公私はない。【私用】での年休は控えろ」などと日常的に問題のある主張を繰り返していた人事部門責任者ご本人が、「理由=私用」で年休を取得し、急な用事で呼び出そうとしても音信不通かつ所在不明となって、僕の中にあった「他者に厳しい人は、己にも厳しくあるべし」という常識が死んだ。自分に甘すぎるだろ。とはいえ、どういう言い訳をするのか楽しみで仕方なかったのは、昨日のこと。 人事部門責任者は某金融機関からやってきた人物である。僕が以前年休を取得し
1995年の初夏から秋にかけて、横浜の本牧埠頭の倉庫でアルバイトをしていた。当時、僕は法学部に通う大学生で、たまたま学生課の掲示板で目に留まったのが本牧の倉庫会社のアルバイトだった。時給は1000円。すでにバイトをしていたファミレスや蕎麦屋の時給が700円台だったので、何も考えずに飛びついた。家庭の事情でお金を稼ぐ必要があったからだ。もちろん、うまい話はないのは知っていた。時給の高さはハードなアルバイトの裏返しだと覚悟していた。どれだけ酷い仕事であっても「数か月耐えればいい」「無理なら逃げればいい」と割り切って面接に臨んだ。お金を目的にはじめたアルバイトだったけれども、あの1995年の夏は、お金には換えられない意味を持つ大切な時間になったのだ。 面接5分で採用決定。研修や教育はなし。「今から行ける?」と作業服を着た社員に車に乗せられ連れていかれた倉庫で「見よう見まねで覚えて」と言われて放り
僕は食品会社の営業部長。2か月前、取引をしてきたA社担当者から「新年度からは他社に切り替えるわ。安いし」という非情なひとことで契約解除通告された。なお、2か月前予告は契約書の解約解除ルール通りである。得意先を失いたくなかったので話し合いを求めたが、「もう社内で決まったことだから」と交渉すらできなかった。 それから2か月。元取引先A社の担当者から連絡があった。「過去は水に流して何とか助けてほしい」と泣きついてきたのだ。新取引先が必要数量を揃えられなかったみたいだ。アホか。「これまで築き上げてきた関係を濁流で流したのはそちらでしょ」と言いたかった。だが、相手の口調から焦りとヤバさを感じたので「考えさせてください」といって電話を切った。 A社との契約条件は厳しかった。納期が厳しいうえ、納品ルールが細かかった。社風なのか育ちの悪さなのか知らんけれども、荒っぽい社員が多くて当社の担当者は疲弊した。近
就職求人市場は、需要状況によって「売り手市場」「買い手市場」と呼ばれる。今は売り手市場であるらしい。売り手市場であれ、買い手市場であれ、そのときどきにおいて優位に立った者が優位にある立場を利用して強者のふるまいとする…僕が新卒の頃、平成一桁台は今ほどコンプライアンスもなく、買い手市場であったため、それはまあ酷い目にあったものだ。そんな薄汚れた下水のような世の中で、せめて己が面接官としてかかわる面接において、自分だけはドブネズミみたいに美しくありたいと心に決めている。 美しくあり続けることを試されるような試練が続いている。 第壱話 出ない、電話 初冬。営業職企画職の欠員補充のための中途採用に応じて「業種や仕事について担当者と実際にあって話を聞いてみたい」という問い合わせがあった。20代女性。アメリカ暮らしの長い帰国子女。ただし、現在勤務しているため特定の平日夕方6時から職場近くで話を聞かせて
ヨッピーさんを震源地に、はてなブックマークの民度が話題になっていた。僕も、関連した記事で目にしたものは匿名ダイアリーも含めて読んだ。感想は特にない。個人の考えなので各々違いがあっていい(ヨッピーさんは大変だと思った)。僕個人としては「最近のはてなブックマークの民度は上がっている」という感覚をもっていたので、正直なところ、問題になること自体に少し驚いた。僕自身についていえば、はてブで酷い言葉をぶつけられた経験がほとんどない。というかその類の言葉についての感度が鈍いため、「はてブの民度がー!」という気持ちになったことがない。もう少し礼節をわきまえてもらえたらいいな、と数秒思うくらいだ(なお命の危険を覚えたものについては運営に報告している。そういう発言主とのバトルは時間の無駄なのでしない)。そもそも、客観的にみて僕はネットで有名といわれている人たちに比べて(知名度が低いこともあるが)、攻撃された
はじめに告白しておこう。今回の記事は当ブログ初のPR記事である。泣く子も黙る天下のアドビ社から、「僕と私の確定申告」という企画で記事を書いてほしいという依頼を受け、キーボードを叩いている。いやいや続けてきた確定申告ではあったが、それがきっかけで仕事に繋がったのである。今後は手のひらクルーで確定申告を神のごとく崇めたいと思う。なお、本文についてはいっさい編集者の手は入っていないので、読者諸兄にはいつものブログと同様に読んでもらいたい。 1.確定申告とは縁がないと思っていた。 ごく平凡な会社員として働いてきたので、確定申告は他人事だと思っていた。もちろん、ネットや雑誌で、会社員が確定申告をしていることに係る記事を目にしていたので、会社員と確定申告が完全に別のカテゴリにあるものでないことは知っていた。副業で多大な利益を得ている人や、莫大な遺産を相続した人は、会社員という身分でも確定申告が必要にな
とある法人との契約解除交渉を任された。僕の務めている会社は食品系である法人にサービスを提供することが決まっていたが、諸々の事情によって事業継続が困難と会社上層部が判断したのである。「営業が取ってきた契約だから、契約を解除するのも営業」というのが事業の運営部門の言い分であった。「あなたたちは仕事を持ってくることも、続けることもできず、あまつさえ仕事を打ち切ることもできない無能なんですねー」と言いたくなる気持ちを抑えたのは社長直々の指名だったからである。「白羽の矢が立った」と表現すれば綺麗だが、北斗神拳奥義の一つ、人差し指と中指で挟んで受け止める「二指真空把」をキメなければ眉間に白羽の矢が刺さって失脚不可避のピンチなのであった。 プロローグ 【登場人物】 僕(営業部門責任者)、弊社担当者(運営部門)、クライアント1号(法人理事長)、クライアント2号、その他弊社現場スタッフ。 契約日は昨年末、事
昨年の秋からしつこい油汚れのようなマンション営業を受けていたが、営業職26年の経験を活かして、ようやく撃退できたっぽいのでその話をしたい。 ことのはじまりは家族(奥様)からの「最近、ポストに新築マンションのチラシが入れられている」「夕方、マンションの営業が来るようになった」という報告であった。僕は現在、諸事情により賃貸マンションで暮らしている。40代。中間管理職。子供はいない。新築マンションの購買層としてロックオンされていたのだろう。奥様は営業に「平日の午後に来られても、主人はいない。我が家の決定権はぜんぶ主人にあるから主人がいるときに来なさい」と責任転嫁した。夕方、「相棒」の再放送を観るのに忙しいからといって僕に丸投げするのは酷い。実際のところ、僕は、歯磨き粉ひとつ買う際でも奥様の顔色をうかがっているからだ。「そんな決定権がお前にあるのか」と虚空に向かって叫びたい。もちろんこの「お前」は
1年で区切る意味がよくわからないが挙げてみる。本はよく読む方だと思われる。専門書や雑誌が圧倒的に多い。確認したら小説や新書は計83冊しか読んでいなかった。しかも再読が多い。その中で読んでよかったものを列挙しておく。レビューはない。順位もない。得点や星もない(星3.5と4の差が説明できない)。僕が評価する点は、投じた金額より「満足したか否か」のみだ。だからベストもランキングもない(強いて1位をあげるならナボコフの『ディフェンス』) というわけで、おなじ内容でも新刊と文庫では文庫のほうが安価なぶん評価は高めになり、無料で手に入れたものは高評価になる傾向がある。奥様がミーハーで売れている本を買ってきてくれるため、小説新書のベストセラーはだいたい目を通しているけれどここには挙げられていない。シンプルに奥様が購入した価格に見合わないものが多かったからだ。「こんなものを買う金があるならこづかいを増やし
営業部門には、ときどき、他部門で能力や才能を発揮できなかった人が異動してくることがある。僕は食品会社の営業部門の責任者をやっていて、現在、部下の何人かは他部門でハマらなかった人である。本来なら新人を営業マンに育てるほうが楽だ。だが、厄介な人を戦力化することができたら、マイナスをプラスに転じた点で非常に大きい。「金を残すは三流、仕事を残すは二流、人を残すは一流」という言葉がある。金も仕事も残せなかった僕に残されたのは人を残すしかないともいえる。 私事だが50才手前でサラリーマン終活を始めている。緩やかにサラリーマンを卒業するつもりだ。30年弱のサラリーマン生活を色にたとえるとウンコ色。酷いものであった。そして酷いサラリーマン生活だったからこそ最後は「人生をかけてひり出したウンコを堆肥にして部下という名の花を咲かせ、自らのエンディングを飾りたい」と考えたのだ。 他部門でハマらなかった人たちも戦
小説 すずめの戸締まり (角川文庫) 作者:新海 誠 KADOKAWA Amazon 大ヒット中のアニメ映画「すずめの戸締り」をみた。面白かった。大絶賛ではない。ネガティブな意見をいうと信者の人から叩かれるので表記を、特定できないように「●の●●り」としておく。一般常識のある大人なら何について語っているかわかるはずだ。前提として申し上げたいのは今振り返れば作品鑑賞中に僕が「●の●●り」を楽しんだということだ。「●の●●り」は十分に満足できる体験であった。今でもときどき劇場での「●の●●り」体験に思いを馳せている。 鑑賞前に「面白いとか面白くないという評価に当てはまらない、人生にとって大切な作品」みたいな薄気味悪い感想をSNSで目にして、大昔に映画「一杯のかけそば」を観たときに似たイヤな予感がしていたけれども、杞憂であった。確かに、女子高生が世界を救うために走り回る展開も、このシーンではああ
SNSで情報収集できない中高年なのでネットの情報収集はヤフーアプリに頼り切りで、頼みのヤフーがユーチューバ―の情報をトップに載せるものだから、そこそこユーチューバーに詳しくなっている。そのなかで先日クラファンで日本一周を達成した不登校ユーチューバ―君が大きな話題になっている。だがコメントのほとんどは批判だ。SNSにおいても彼に対しては批判や否定的意見が多いようだ。中には誹謗中傷のようなものもある。彼のチャンネルはユーチューブのおすすめに出てきたタイミングで観たことがあるくらいでまったく詳しくない。だが、ヤフーが取り上げるくらいなのだから、日本国内でトップレベルの登録者数と再生回数を誇っているのだろう。注目されているからある程度の否定的な意見や批判はしかたない面はあるけれども、彼に対するものは「しかたないレベル」を超えている。有名税という言葉で許されるものではない。 「学校に行かずに遊んでい
『スプラトゥーン3』で遊んでいる。前作前々作をプレイしていないので『3』からの参戦になる。スプラは、ウィキペディアによれば、プレイヤーキャラであるインクリングを操作し、ブキを用いてインクを放ち、地面を塗って陣地を広げたり、敵にインクを当てることで倒して戦うゲームである。撃ち合いで負けることが多いけれど悔しくて楽しい。スプラ3は記録的な売上をあげている(特に日本では)。その人気にあやかってPV稼ぎなんだろうね、人気の秘密について書いている記事も多い。いくつかをピックして読んでみた。つまらないものから最高につまらないものまで様々な文章だった。「撃ち合いだけで勝敗が決まらない秀逸なゲームシステム」「前作からの正統進化系」「正直いってマンネリはある」等々上品ぶった文体で平凡な分析がなされていた。後からもっともらしい理屈と理由をつけているような印象を持った。スプラで遊んでいる人間はもっとプリミティブ
節電モードで薄暗い病院で定期健康診断を受けた。憂鬱だった。ここ数年の検査結果が良くないのと、とある検査項目自体に苦手意識があったからである。そして憂鬱の中心に採尿がある。僕は、採尿が、苦手だ。採尿はこれまで何度もこなしてきたので慣れたものだ。トイレで紙コップに尿を採るとき、僕は、まるでベテランの電車機関士のように、指定されたラインに一ミリの狂いもない精度でピタ止めできる。問題はその後だ。尿漏れが酷くて、毎回、検査着の股間前面にシミをつくってしまう。僕は普段からパンツを履いている。だがパンツの布の厚さでは吸収できず、尿が越境してしまうのだ。 採尿は、検査の初っ端に行われるため、検査が終わるまでの時間を股間に染みをつけた状態を衆目に晒すことになる。このようなカミングアウトをすると、人々は尿漏れパッドを推奨する。推奨する人たちに反論したい。キミたちは周回遅れであると。すでに試している。股間に当て
売り言葉に買い言葉で進退をかけたら死んだ。事の始まりは春先の幹部会議。その席で僕は3件の重要な案件の進捗について社内プレゼンをした。話を終えると取締役の1人から「どの案件も会社の将来がかかっている。進退をかけて臨むように」と言われた。進退をかけるとは結果が出ればオッケーだが、結果がでなければ責任を取るということ。なぜ、会社の幹部というよりは会社の患部的存在から、無条件に進退をかけさせられなければならないのか!という怒りはあったものの、しくじりが許されない案件であることには変わりなく、案件の見通しに自信もあったので、売り事に買い言葉で「進退かけますよ」と口に出してしまったのである。 1件目は夏に結果が出た。東海エリアの足がかりとなる案件である。成約。進退をかけた戦いに挑み、勝って、生き残ったのである。取締役に伝えると「あと2件ある」と冷酷な対応をされた。進退についての考え方の差異が明らかにな
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