1 就職差別と結婚差別 第1回と第2回では、部落問題は日常生活ではなぜかあいまいに話されること、ふだん生活している中ではなかなか見えにくいこと、そして部落問題の歴史などについてお話ししてきました。 なぜ差別が見えにくいかというと、こっそりするからです。いじめなどでも、誰にでもわかるようにするものと、まわりにはバレないようにするものがありますよね。いじめを受ける方からしたら、どちらも耐えられないと思います。 こそこそと避ける、陰口をいう、下にみるといった行動がふだんからあるなかで、それがベースとなって、あるとき、ひどいかたちで差別があらわれます。それが差別事件とか差別事象と呼ばれるものです。ふだんから差別に関心のない人には、事件は突然起こったようにみえますが、こそこそした差別の雰囲気を感じている人からすれば、起こるべくして起こったな、と思うでしょう。 部落差別がはっきりとしたかたちで姿をあら