5月1日、新天皇陛下が即位され、「令和」の時代が幕を開けました。即位に関する数々の厳かな儀式を目にして、改めて日本における天皇の存在の大きさに思いを巡らせた人も多いのではないでしょうか? 建築家で、文化論に関する多数の著書で知られる名古屋工業大学名誉教授・若山滋氏は、「日本の天皇制は他国の王制とは異なる性質をもっている」と指摘します。なぜ、日本には世界に稀な「天皇」という文化が存在しているのでしょうか。若山氏が独自の「文化力学」的な視点から論じます。 平成から令和へと替わるに当たって、上皇、上皇后の、世界の平和を祈り国民の哀しみに寄り添う姿勢が印象に残った。 戦後、急進的に民主主義を求める革新陣営に対して、天皇制は保守的な思想の上に存続したが、現在では、保守陣営がパワー・ポリティクスに傾斜する中で、あくまで平和を祈る天皇の姿勢は、むしろ革新に近い印象を与える。ジョセフ・ナイの唱える「ソフト