電通の過労死問題をきっかけに、個人と社会の関わり方が注目されるようになった。私は前職でうつ病になった。一番ひどいときは毎日死ぬことを考えていた。4~5年間治療を続けたが結局会社を辞めた。どうにか社会復帰はできたが、現在も抗うつ剤を飲んでいるし、夜は睡眠導入剤がないと眠れない。だからこの過労死問題が他人事に思えなかった。時に死を招くほどの労働を求める社会のあり方に疑問を感じていた。 【写真】守るべき“自由と尊厳”語る吉野寿 ちょうどその頃だった。2017年9月、イースタンユースがニューアルバム「SONGentoJIYU」を発表した。個人と社会の関わり方について歌ったこの作品を聴いて、私は作詞作曲を担当している吉野寿に話を聞きたくなった。彼の中に、先の疑問を解決するヒントがあるような気がしたからだ。 まずは簡単にイースタンユースの説明をしておこう。1980年代後半に札幌で結成された。最初期はイ