話している相手が料理人であることがわかったので「どんな分野の料理ですか」と尋ねたとしよう。「あ、自分は電気炊飯器系です」という答が返ってきたらどうだろう。和食、洋食、中華といった答を期待しているのに「電気炊飯器系」ではキョトンとするしかない。 同じような違和感が、ソフトウエア業界で技術者の分類として使われる「WEB系」にはある。WEBというのはアプリの動作を支える多彩な技術要素のひとつでしかない。電気炊飯器が料理を生み出すための数ある道具のひとつでしかないのと同じだ。自分なり誰かなりがWEB系の技術者であると説明されてもキョトンとするしかない。 この独特な表現が使われる事情は、歴史的経緯としてある程度は理解できる。90年代に経済社会がWEBを活用し始めた頃、これをソフトウエアに組み込むためには、それまでになかった独特な技術要素を理解し駆使する必要があった。それらを扱うことにはある種の専門性