厚生労働省が食中毒対策として通知した馬刺しの冷凍処理について、本場・熊本県の馬肉業界で戸惑いが広がっている。 解凍時にうま味成分の一部が溶け出すうえ、サクラにも例えられる肉の色が微妙に変化するからだ。生食が当たり前だった地元では、通知後、生産量が減少。冷凍・解凍技術の確立など新たな対応を迫られている。 馬は体温が約40度と動物の中では高いため、寄生虫が少なく、馬刺しは安全な食品とされてきた。ただ、まれに軽い食中毒が発生することがある。最近になって「ザルコシスティス・フェアリー」という寄生虫が原因とわかり、厚労省は6月、流通過程で冷凍処理するよう全国に通知した。 農林水産省の食肉流通統計によると、熊本県の馬肉(枝肉)生産量は、通知が出された6月は前年同月に比べ30・5%も落ち込んだ。その後も回復せず、需要期の7、8月も前年比25%以上のマイナスが続いている。