夏に多い細菌性食中毒(以下、食中毒)ですが、涼しくなってくる9月、10月も例年、食中毒の発生が多くなります。今回は食中毒発生予防法の1つである加熱調理について考えてみたいと思います。 食中毒予防の三原則は、細菌を「付けない」「増やさない」「やっつける」です。しかし、一口に食中毒と言っても、原因となる食中毒細菌の種類により食中毒の発生のしくみが異なります。そのため、食中毒予防法も菌種ごとに考える必要があります。 腸管出血性大腸菌O157、カンピロバクター、サルモネラのように少ない菌量で食中毒を起こす細菌では、「増やさない」は当然ですが、「付けない」「やっつける」が予防に重要です。カンピロバクターを例にしますと、本菌は多くの鶏肉に「付いている」ため、鶏肉をしっかり加熱調理(中心部が75℃、1分間以上の加熱)して菌を「やっつける」、鶏肉からサラダなど生で食べる他の食品に菌を「付けない」ことが食中