出井、ストリンガー時代のSONY社内は異質だったという。ソニー凋落の理由とは。 1999年11月に出井が世界最大のコンピュータ見本市「コムデックス」で行なったプレゼンテーションをあげる。 このとき出井は満員の観客に向けて、「われわれは今も、そして将来もブロードバンド・エンターテインメント・カンパニーです」と宣言し、コンシューマー・エレクトロニクス部門が開発したまったく新しいデジタル音楽プレイヤー「メモリースティック・ウォークマン」を紹介した。 会場にいた誰もが、ソニーが満を持して送り出す「インターネット時代に適したデジタル版ウォークマン」の成功を疑わなかった。 ところがここで奇妙なことが起こる。出井は熱狂する観客に向けて2つめの新製品を披露したのだ。それはVAIOコンピューティング・グループが開発したボールペンほどの大きさのデジタル・オーディオ・プレイヤー「VAIOミュージック・クリップ」