アジア人初のエアレース・パイロットで世界チャンピオンにも輝いた室屋義秀氏。決して航空文化が盛んとは言えない日本を拠点にしながらも、世界の第一線で活躍する紛れもないパイオニアである。室屋氏はいかにしてトップパイロットへの道を駆け上がってきたのか。幼少時代から現在までを振り返りながら、偉業の足跡をたどった。 2021年の東京オリンピックでは、航空自衛隊のブルーインパルスが見事な五輪を東京の空に描いた。アクロバティックな飛行といえば、日本人の多くは戦闘機による航空ショーを思い浮かべるだろう。一方、世界ではプロペラ機で曲技を競うエアロバティック(曲技飛行)が航空スポーツとして根付いている。 室屋義秀氏は日本のみならず、アジアを代表するエアロバティックのトップパイロットとして知られる。エアロバティックは難易度に従って下から順に「プライマリー」「スポーツマン」「インターメディエイト」「アドバンスド」「