1 研究の目的、問題点 印紙税は、文書の作成行為の背後にある経済的利益、文書を作成することに伴う取引当事者間の法律関係の安定化という面に担税力を見出して課税している租税であり、税体系において基幹税目を補完する重要な役割を果たしている。 この印紙税について、最近、課税を回避しようとする動きがある。例えば、平成13年に施行された「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律」により、従来、紙の契約書の交付を必要としていたものが、フロッピーディスク、CD-ROMの手交など電子的手段によっても行えることとなった。このことを契機として、契約当事者間において、電子文書を交換することによって契約内容を相互に保有し、紙の契約書を作成しないことで印紙税の課税を回避する事例が発生している。また、情報通信技術の進歩や経済のグローバル化等の進展により、国内取引に係る文書について、その