2週間ほど前の話題になるが、5月14日にシャープが社長交代人事を発表した。副社長の髙橋興三氏が昇格し、現社長の奥田隆氏はわずか1年余りで代表権のない会長に就く。突然の人事発表に驚かれた読者の方も多いのではないだろうか。 シャープの経営危機については、既に多くのメディアが取り上げており、その点について掘り下げて書くつもりはない。ただし、技術者の立場から気になったのが、赤字に陥った元凶として挙げられる液晶事業への過剰投資だ。主導した現会長の片山幹雄氏は生粋の液晶技術者だけに、技術に対するこだわりが強く過剰投資を招いたことは残念でならない。その一方で、最終判断はトップである片山氏が下したものの、部下からの進言はなかったのか疑問を抱いてしまう。 シャープの事例だけでなく、「トップの思い込み」は時として経営危機を招きかねない。ホンダ創業者である故・本田宗一郎氏は、最終的な判断は自ら下すものの「技術論