『スラヴ叙事詩』は遠い国の知らない歴史ではありません。日本のわたしたちともさまざまなかかわりがあります。 ヨーロッパの中央にあって他国に支配されつづけたチェコの歴史は、そのような経験のない東洋の平和な島国日本とは大きく違い、すぐには理解しにくいこともあります。しかし異なる歴史だからこそかえって日本の私たちに歴史と向きあい方を示唆し、歴史と向き合う意味を考えさせられることが『スラヴ叙事詩』には非常に多くあります。 構想のめばえ ミュシャにとって『スラヴ叙事詩』は三度目の"歴史画シリーズ"にあたります。6m×8m、小さいものでも4m×5mもある超大作20点からなる『スラヴ叙事詩』を制作するいくつかの理由と要因がミュシャにはありました。 『スラヴ叙事詩』を詳しく見るとイヴァンチッツェ、ブルノ、ウィーンで過ごした少年期、その後のミュンヘン時代やパリの美術学校の生活、ポスター、装飾パネル、カレンダー