昨年9月の先行配信(FOD)時から「なんという傑作!」とSNSに絶賛の嵐が吹き荒れたアニメ『平家物語』(フジテレビ)。折しも、今年1月から放送のNHK大河ドラマは源氏側から描く『鎌倉殿の13人』、書評家・豊崎由美が、源平の名作をいっぺんに享受できる僥倖に震えつつ、いざ、アニメの原作となった古川日出男訳『平家物語』(873ページ!)に挑む。 アニメ『平家物語』の原作を読む 〈祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらはす。おごれる者久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き人もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。〉 ご存じ、『平家物語』冒頭のあまりにも有名な一節です。古典の授業で暗唱させられた方は多いのではないでしょうか。トヨザキもそのひとりであります。が、しかし、治承・寿永の内乱、いわゆる源平合戦を題材にして鎌倉時代前期に成立したとされる、こ