子どものころ、両親の実家への帰省は、私にとっての重要行事だった。祖父母から、臨時のお小遣いがもらえるからだ。 「貯金しなさい!」という両親の声に耳を貸さずに使い切ってしまい、「お前の財布のひもは、本当に緩いな…」と、呆れられたものだった。 臨時収入があった場合、どれだけ消費に回すのかという「財布のひも」を示すのが、「限界消費性向」だ。「限界」とは「追加された…」という意味で、新たに増えた所得の中で、何%が消費に回されるかを示す。10万円の臨時収入があり、その内の8万円を旅行などに使い、残りの2万円を貯金した場合、限界消費性向は0.8(=8万円÷10万円)となる。 限界消費性向は、所得が低い人ほど大きく、高額所得者ほど小さいとされている。所得が低いと臨時収入の大半を使ってしまうが、高額所得者は収入に余裕があることから、臨時収入があっても追加的な消費に回す部分は少なく、貯蓄や投資などに使うこと