しかし、日本のIT業界は、「多重下請け、低賃金の温床」が実情だ。大正時代に紡績工場で過酷な労働をしていた女性たちのルポ『女工哀史』のように、今のデジタル業界もまさに「ITエンジニア哀史」のような悲惨な状況なのだ。 日本には全国各地にプログラミングの専門学校があれば、大学の工学部にもプログラミング教育を前面に出しているところもある。しかし哀しいことに、そういったプログラミング学校を卒業しても、米中印のスーパースターのような構想力を持ったエンジニアになれず、日本独自の年功序列制度の末端に入ることになる。 日本のIT教育の問題点は、作りたいシステムを構想し、それをスペック(仕様)に書き出すということを教えていないことだ。作りたいシステムがないままに、プログラミングのルールばかりを勉強する。だから、人に言われたことをプログラミング(コーディング)するだけの人材しか育たず、「ITエンジニア哀史」の物