【「裁判員制度に反対です」のつづき】 さて、ここに「仮面の家―先生夫婦はなぜ息子を殺したのか (新潮OH!文庫)」という本があります。 1992年に起こった「真面目な高校教師と良妻賢母」による息子(23歳)刺殺事件。8万人もの減刑署名が集まり注目を集めました。 新聞記者横川和夫氏は、『表面的には何一つ問題のない家庭と見られていただけに、健全と見える家族のなかに潜む異常性が起こした事件とでも言うのだろうか』―そういう疑問を胸にこの事件を取材し、「仮面の家」という本にまとめました。 しかし、どんなに取材を進めても『反抗する長男をなぜ殺さなければならなかったのか』という疑問は最後まで解けませんでした。本書に登場する家族療法の専門家も『見方』を示しますが、明確に解いているわけではありません。この本は、判断がつかないままに終わっています。つまり、「仮面の家」という本には取材した事実が記載され、判断は