規模は欧米の巨大製薬会社の10分の1以下。なぜ、エーザイだけが、アルツハイマー病治療薬を開発できたのか? 20年以上にわたり、直接取材で同社を見続けてきた著者がその秘密を全公開する。 研究開発こそ企業の生命線 良い報せも悪い報せも、土曜日の早朝にやってきた。 米国の規制当局FDA(食品医薬品局)の発表は、株価への影響が少ない現地時間の金曜日、ニューヨーク証券取引市場が閉まってからの時間であることが多い。 エーザイのCEO(最高経営責任者)内藤晴夫(75歳)は、その日も、携帯をベッドの枕脇において寝た。自宅は東京・小石川のエーザイ本社から歩いて2分の距離。 1月7日の日本時間午前4時、けたたましい携帯の音で目を覚ました内藤は画面の表示を見る。 米国における臨床開発の最高責任者からだ。 「Congratulations!」 エーザイの開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が米FDAによっ