・徳島平野を東流する吉野川南岸部より剣山系にかけた地域、地質でいえば[三波川帯][御荷鉾帯]の結晶片岩地域に剣山系の傾斜地農業は展開する。地質面から検討すれば、「剣山系の結晶片岩地帯で展開される傾斜地農業」とも捉えられる。当地域は、日本を代表する地すべり地帯で、しかも日本最大の破砕帯が走っているため、山上部に容易に畑地・棚田・集落を作ることができ、涵養林さえ残せば山上付近からでも水が湧き出るため、土地生産性が高く、古代より農業生産の場として機能してきた。それ故に、日本に前例がない傾斜地集落と独特な農村景観が歴史的に形成されてきた。 ※三波川結晶片岩帯が露出する「大歩危」は国天然記念物に指定された。世界農業遺産に認定された次は、世界ジオパーク構想が期待できるであろう。 ※片理性が高く、割れ易い性質をもつ結晶片岩は、傾斜地農業を営むための高度な石垣技術に不可欠な要素 ※結晶片岩が風化した玄武岩