Galaxy ZooもeBirdも,いわゆるシチズンサイエンスの代表例といえるが,研究者を本職としないアマチュアによる科学への貢献はインターネットの登場以前からすでにあった。米国オーデュボン協会が主催するChristmas Bird Count注4)は,1900年に開始された当初27名のボランティアによるささやかな試みであったが,113回目にあたる2013年の調査は7万人以上が参加する大きなプロジェクトとなった。こうしたボランティアが長年積み上げたデータによって,北米に生息する20種ほどの鳥類が,過去40年間に平均で100マイルほど北に生活範囲を移動したことが明らかになり(図2),地球温暖化や気象調査の背景データとして使われている注5)。 Polymath Project注6)もまた,ニールセンがしばしば取り上げる興味深い事例である。英国の数学者でフィールズ賞受賞者でもあるティモシー・ガウ