森まゆみ『自主独立農民という仕事 佐藤忠吉と「木次乳業」をめぐる人々』(バジリコ、2007年)は、牛乳を中心にした本ではない。あくまで、佐藤忠吉氏という魅力的なひとの活動や考えを紹介している本だ。著者は、タウン誌『谷中・根津・千駄木』発行の中心的人物だったこともあり、「ひと」という単位での見せ方がとてもうまく、引き込まれて読んでしまった。 木次は出雲にある。ここで佐藤忠吉氏は、日本ではじめて、63℃30分殺菌のパスチャライズド牛乳を売り出したという。独特なのは、日本の農政の乳量主義やコスト主義、牛乳濃度主義、単一作物主義、農薬多使用主義などにすべて反したスタンスだ。長い模索の末、あくまで気候風土に合った乳業のため、ジャージーやホルスタインなどの半分未満しか乳を出さないブラウンスイスという牛を育てている。 穴がぼこぼこあいたエメンタールチーズの製造については、平澤正夫『日本の牛乳はなぜまずい
![牛乳(3) 森まゆみ『自主独立農民という仕事』 - Sightsong](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b3f2adec64266996052ed1ce4e8808d55767eed3/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fblogimg.goo.ne.jp%2Fuser_image%2F7b%2Fd4%2Fec25d2295e81ea24d671b2628033bb67.jpg)