私は忘れっぽい。荷物を手元から離すと高い確率で忘れて降りる。買い物帰りには電車の中でも袋の取っ手を手首に通して膝の上に置く。多くの大人が「今、かばん以外のものを持ち歩いている」という意識を保っていられることが信じられない。今日も受け取ったばかりの紙袋を手洗いに置き忘れて慌てて戻った。残っていてよかった。 寝ぼけているのではない。病気でもない(たぶん)。酒や薬物を摂取しているのでもない。私にはその状態が当たり前なのだ。いつも身辺の荷物について気遣おうとすれば、口を閉じるたびに歯を食いしばりすぎて顎が疲れるし、首から腰まで傾けるたび派手な音で鳴る。健康によくない。そんなにがんばり続けたくない。できるだけ楽をして生きたい。だから私はいろんなものを忘れても生活が成り立つようなシステムを開発、構築し、運用を継続している。 そのような私が忘れないことがある。暴言や暴力の対象になった場面だ。たちの悪いも