海外で暮らす日本人の数が30年間で倍増している。国際化の急速な進展に加え、経済停滞で将来が見通せない日本よりも、東南アジアなど成長する国々の方が魅力的に映り始めたことが背景にある。新たなビジネスや転職でチャレンジしたい人々にとって、日本は「選ばれない国」になりかねない。 外務省によると、海外で暮らす日本人は昨年10月時点で約134万人と、1991年の約66万人から倍増している。留学や駐在など3カ月以上の長期滞在者と永住者の合計で、永住者数は約53万7000人と全体の4割を占め、統計を取り始めた1968年以降過去最高に達した。 これまでは企業の積極的な海外進出に伴う移住や、「富裕層が資産運用や子どもの教育のためにシンガポールなどに移り住む」(エコノミスト)動きが注目されてきた。さらに経済成長できない日本から中間層が「脱出」する事態が指摘され始めている。